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書籍・雑誌

読書ノート27

①須藤真澄「長い長いさんぽ」

まんがですが、二度目に読んで取り上げたくなりました。

海外旅行に行っている間に逝ってしまった猫のゆず。
夫婦でゆずの遺体を抱いて、動物霊園まで長い長い距離を歩いた。それがタイトルです。

私は死んでしまった猫を長く見ていたくなかったけれど、すこしでも、いつまでも見ていたいと考える人もいるのでしょうね。著者夫婦はそっち派のようです。

我が家のくうが死んでしまい、小梅がやってくる前に読んだので、感情移入も激しくて涙がぽろぽろ。
その後、子猫きょうだいをもらってきたようですが、その子たちは元気かな。
うちの小梅はとっても元気です。


②泉麻人「僕の昭和歌謡史」

テレビ出演もされているのをたまに見ると、薀蓄おじさんってうっとうしい、と思ってしまったりするのですが、文章だと面白い。

ヒット曲っていうのは好みもありますので、私はあっちのほうが好き、あっちのほうが印象に残ってる、っていうのもありますが、おおむねなつかしい。

まだこの年代は、都会っ子と地方っ子でずいぶんちがうのでしょうね。
典型的都会っ子の泉さんは、東京産まれの東京育ち。大阪っ子ともちょっと差がありますよ。


③角田光代「今日も一日きみを見てた」

西原理恵子さんちで生まれたにゃんこをもらってきたのだそうです。

その猫トトは奥ゆかしくて控えめな性格で、人なつっこい。なにより可愛かったのが、さすがのトトも獣医さんは嫌いなのだけど、控えめなので、「しゃー」と言うときにも壁のほうを向いて静かにおとなしく、というところ。か、か、かわいい。

うちのくぅも生涯で三回くらいしか、「しゃー」とは言ったことがありません。
一度目は「くっくるくぅ」とか言ってるので、なに言ってるの? とよく確かめたら、しゃーと言いたかったらしい。

猫の好きな作家さんは、さすがに猫エッセイも上手ですねぇ。


④梁石日「超暴力的な父親」

「血と骨」のもとみたいなノンフィクションです。
反面教師以外のなにものにもなり得ない父親。こんな父親にも感謝してるのですか? してるのだとしたらけっこうカルチャーショックだわ。彼がいなかったら自分はこの世に存在しないから、という意味で?

お母さんはけっこう生活力があったみたいなのに、どうして離婚しなかったんだ?
いろんな意味で不思議。それほどに昔の人々でもないのに。
「素晴らしい父親」? 意味不明。


⑤深海菊絵「ポリアモリー複数の愛を生きる」

ふとしたことから「ポリアモリー」を知り、もっと深く知りたくて読んでみた本です。

ごくシンブルに、ややこしいことが起きないのだったら、たいていの男は何人もの女とつきあいたいはず。ただし、自分はいいけど相手は駄目。おまえは俺だけでないと駄目、って言うのが一般的でしょう。

「金瓶梅」なんか読んでいても、自分は妾を何人も持ってるくせに、妾がちょっとよその男になびいたくらいでいも怒り狂う男ってのが出てきます。男のサガってそういうものらしい。
現代の不倫の話を読んでいても、夫が不倫した妻には許してやれば? みたいな意見もよくありますが、妻が不倫したら絶対に離婚!! だもんね。

ポリアモリーは男女ともに、複数の異性、または同性と恋人同士になる人々です。清水義則氏の近未来SFに、そういうのが一般的になった社会を舞台にしたものがありました。

日本ではちょっと一般的とかけ離れると排除される傾向がありますが、欧米ではゲイカップルだってポリアモリーカップルだって養子を育てたりもする。そうして育った子は世の中に満ち満ちている偏見とは無縁でいられるのでしょうか。


⑥秋山知伸「ネコ科大型肉食獣の教科書」

猫エッセイもたくさん読んでますが、猫科の生き物の本、写真集も大好物です。

虎やライオン、豹、ジャガー、ヤマネコくらいだったら動物園にもよくいますが、私がとても会いたいのは雪豹。日本にもいなくもないみたいなので、いつかは会いにいきたいです。

京都の動物園にいたアムールトラは、かなり接近して見ることができました。虎って檻の中をひたすらうろうろ、うろうろ、と歩き回っているのですね。ちょっと怖いけど、あれだけ近いと大迫力。雪豹は動物園ではどうしているのでしょうか。


⑦アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」

何年かぶりに、若いころに読んだ本を再読してみる。
近いうちには「風とともに去りぬ」もまた読んでみるつもりですが、先にこれを再読しました。

二十世紀半ばごろのイギリス。この時代の四十代主婦ってこんな感じがごく普通なんじゃないですか? 夫のため、子どもたちのために尽くし、よかれと思ってお節介を焼く。疎まれても苦笑されても、私はこうするのが一番なんだ、と頑固に思い込んでいる。

主人公のジョーンもそんなふうで、やれやれ、しようのないおばさんだな、って感じです。

それよりもいやな奴なのは夫じゃないの? この男、ずるい!! 自分は妻の犠牲になってるみたいな顔をして、悪いのはみんな母さんだからね、しようのない女なんだからね、って子どもたちにも思わせて、自分はいい子になって、「かわいそうなリトルジョーン、きみがひとりぼっちだってことに一生気づかないように」って。最低。

離婚もしないくせに精神的だかなんだかの不倫はしてる。
妻に対しては諦めてしまったのだろうけど、そんなにいやならあんたが家を出ていったらいいんじゃない?
とにかくこの夫が、すごくすごくイヤな奴でした。


⑧奥田英朗「ナオミとカナコ」

テレビドラマは見ていないのですが、なかなか話題になっていたみたいですね。

大学の同級生であり、親友でもあったナオミとカナコ。カナコの暴力夫をふたりで共謀して殺す。うまくいくかと思われたのですが、夫の妹が乗り出してきて犯行が暴かれそうになる。

こういうストーリィだと私は、犯人の味方がしたくなります。
世の中には正義の味方が大勢いて、殺人が罰せられないのは許せない!! と憤慨する方もいらっしゃるようですが、そこはまあ、フィクションですから。

だけど、なにも殺さなくてもよかったんじゃない?
夫の妹に相談してみたら、うまく離婚できたんじゃないの?

もっとも、夫はお金を持っていたみたいだから、離婚したら手に入らない、そのために殺したのだったら納得ですが、そこまでは書いてなくても察しろってか?


⑨岩合光昭「ネコライオン」

猫とライオンは身体の大きさはぐーんとちがいますが、なんとなく似ているのだそう。
岩合さんの撮った同じようなポーズの猫&ライオン写真を見ていると、ほんとにそうだなと感じます。

私はライオンより虎のほうが好きかな。
猫科の動物の好きスキランキングは。

一位 虎
二位 猫
三位 雪豹
四位 ジャガー
五位 ツシマヤマネコ

番外 すべての猫科の赤ちゃん

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今年は台風が来るのが早いですね。
今日も沖縄地方は大雨とか?

私は最近、雨女になってしまっていて、予定のある日には雨です。
なにか予定が入ると、それまで晴れ予報だった天気予報が急変します。

梅雨どきは雨も仕方ない。雨も降らなきゃいけないし。
でもでも、災厄は起きませんように。切に祈っております。


Ko2


風船小梅

読書ノート26

①古川智映子「土佐堀川」

今や大河ドラマよりも人気があるらしい、NHK朝ドラ「あさがきた」の原作です。

名前だけは知っていた(大阪の恩人だそうで)五代友厚、ディーン・フジオカとか、新選組の土方歳三を大河のときそのままに、山本耕史が演じたとか(さすがに老けたね)とか、私はすこしだけしか見ていませんが、話題になりましたね。

すこししかドラマは見ていませんが、原作を読みました。
三井財閥当主の側室の子かぁ。利発だということで父親に愛され、当時としてはずいぶん開けた夫と結婚し、と、恵まれているのもありますが、すっごいバイタリティですよね。

運も味方してくれたってのは、彼女のこの生命力や行動力ゆえなのかもしれません。
こんな女性には憧れます。


②若林正恭「社会人大学人見知り学部卒業見込み」

オードリーの若林くんのエッセィです。
相方の春日くん、変な人だなぁと思っていましたが、若林くんも別種の変な奴ですね。
お笑い芸人さんがごく平凡なはずはないから、納得ですが。

芸能人のエッセイはたまに読みますが、これはかなり面白かった。
ひとりよがりでまるっきりつまらないのもありますから。たとえばほら、Oさんのエッセイとか。


③三浦しをん「神去なあなあ日常」

映画のDVDを観て原作を読みたくなったのは、このシリーズと「まほろ駅前」シリーズ、どちらも三浦しをんさんです。

親にだまされて林業の仕事に就かされた少年が、試用期間が終わりになっても山に残る。
こんな簡単に行くものではないのだろうとは思いますが、ああ、いいなぁと、都会人は身勝手にも思ってしまうのでした。


④角田光代「八日目の蝉」

以前にこの方の小説を読み、私の嫌いなタイプの主人公が肯定的に書かれていたので、読みたくなくなりました。
が、これもまたDVDを観て原作を読みたくなったのです。

不倫相手の子どもを妊娠し、中絶した女性が、不倫相手の妻が産んだ子を誘拐し、各地を転々として我が子として育てる。実の親にしてみればとんでもない話で、母だと信じていた娘も、真相が発覚して引き離され、実の親のもとに戻されるってのはあまりにも切なくて。

みんなみんな、犯人のおかげで人生を狂わされてしまうわけですが、その主人公の犯人に共感してしまう部分があるのですよね。

小豆島が舞台になっている部分があって、私は読む前に行ったのですが、ああ、寒霞渓、あそこねぇ、とその景色も思い出していました。


⑤角田光代「紙の月」

またもや、DVDを観て読みたくなった小説です。
お金は怖いですね。
恋愛も怖いですね。


⑥獅子文六「悦ちゃん」「胡椒息子」

「悦ちゃん」と「胡椒息子」をはじめて読んだのは高校生のときだから、こんなフレーズを覚えていました。

「梅雨が明け、温度計の水銀がぐんぐん上昇していく、夏だ、本格の夏だ」

「胡椒息子」のほうは

「兄の昌太郎くんは口紅や頬紅をこっそり使っているのだそうだが、まさか、非常時日本の大学生がそんな真似をするなんてことはあるまい」

大意ではありますが、高校生のときって記憶力いいですものね。
うん十年ぶりで復刻版を読み、次々と記憶が蘇ってきました。ついでにそのころの友人のことや、この本を買った書店のあたりの光景などまでも。

昭和初期の物語ですので、ものすごーく古いのは当たり前。

実の娘をないがしろにして継娘にばかり気を遣う女性が美化されていたり。
小学校高学年にもなって、ばあやが枕元にいないと眠れない少年のどこが「胡椒」だ、と苛々したり。

というようなこともあるのですが、悦ちゃんも昌二郎くんも、もうすこし大人になったら戦争が激化してくるんだね。元気に生き延びて大人になって、老人になっても達者に暮らしているかな、なんて、現実的に考えてしまいます。


⑦松村紀代子「猫の本棚」

猫の本は大好きです。
岩合光昭氏の写真集とか、キャットシッターの経験談とか、イギリスの図書館猫だとか、アルフィの坂崎さんも関わっているのだそうな、保護猫のお話だとか、うちの猫のおのろけだとか、いっぱいいっぱい読みました。

内田百閒「ノラや」。猫を溺愛していた百閒先生は可愛いじいちゃんだったんだな。
夏目漱石「両方にひげのはえてる猫の恋」奥さんはこの句の意味がさっぱりわからなかったとか、

そのような本なども、たくさん紹介してあります。


⑧片桐はいり「わたしのマトカ」

映画「カモメ食堂」のロケのために、フィンランドに滞在していた際の紀行文です。

小林聡美、もたいまさこ、片桐はいり、個性的な中高年女優さんたちの映画もよかったのですが、このエッセイもたいへん面白かった。はいりさんも外見通りにユニークな方ですね。

グルメぶっていたり(あの料理はどこのでなくちゃ、とか、ラーメンなんかどうこう、とか、この料理にはこのお皿とテーブルセッティングが云々とか、マクロビオティックだとかグルテンフリーだとか)しなくて、おおらかで気取っていなくて、好感が持てました。


⑨林真理子「綺麗な生活」

なにを言おうが男性は美人には弱いのです。
経済力があれば、男性は美女とつきあえるのです。

その逆はあまりないかな、とも思いますが、女性もやっぱり男性の外見は気になるのです。

人のルックスに関する、人と人との冷酷な現実。あからさまでわかりやすすぎるほどにわかりやすいけど、深いストーリィですよね。

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とある作家に興味を示すと、図書館でその人のばかり借りる。
ただいまのお気に入りは新進イヤミス作家の秋吉理香子さんです。この方、とーっても上手だと思います。
全然イヤミスじゃないのもあってがっかりしますが、面白いのも数冊。
近いうちにはこのブログでも取り上げさせてもらいたいです。


Papa


生後約十か月、美少女小梅です。
はい、猫バカでございますcoldsweats01


読書ノート25

①岩井志麻子「五月の独房にて」

げに恐ろしきものは人間のプライドなり、ってか?

彼女が人を殺したのは巨大化したプライドのせいで、男の取り合いで相手をライバル視していたせいだとは思われたくないのもプライドで、わからなくもない。
なんでもかんでも他人のせいにしてしまうのも、私はそんなことしない、とは言い切れない。

五十三歳の彼女が小さい男の子に「おばあちゃん」と呼ばれ、そこから暴走してしまうのもプライドゆえ。
厄介なプライドを捨てられないのもまた、人間なのですね。


②林由美子「堕ちる」

自己保身よりは、我が子のため、我が子がいちばん大切、夫なんかよりも娘のほうが大事、大事!!
この気持ちもわかるなあ。

小説にしてもドキュメントにしても、自分とはまったく関わりのないなにか。
たとえば、ヤンキー少年とか。
ジャングルに棲むジャガーとか。

そういうのが題材である場合の感覚と、わかる!! ものすごく共感できる!! という立場の感覚とがありますね。
前者の場合も面白いものはむちろん面白いのですが、後者だと息苦しいほどのリアリティを感じて唸ってしまうことがあります。

このサイコサスペンスは後者の意味もあって、傑作だと思います。


③NHK編「女性たちの貧困」

貧困ってほどではなく、ちょい貧乏、くらいの私ですが。
若い女性たちの貧困を取り上げたこのノンフィクションは、わかるわかる、私も同じ、というのではなく、でも、身につまされる感じ。

夫婦が離婚する際、日本では子の親権はたいてい女性に行くと男性が怒っているようですが、その分、男というものはなにがあっても、妻と子を捨てて出奔し、のうのうと生きていくことができるってのもありますよね。

シングルマザーが子どもを死なせた、というような報道を見聞きするたび、父親はどこでどうしているんだ?! と叫びたくなる私です。


④柴田よしき「小袖日記」

ケータイ小説の定番、幕末なり戦国時代なりに女子高校生、またはキャバクラ嬢がタイムスリップし、志士や武将と恋に落ちる。ゲームにもよくあるようで、俺さま武将の口説き文句をちらっと見たりするとむずがゆくなるのですが。

この小説は29歳不倫OLが平安時代にタイムスリップし、紫式部の侍女の身体に入り込んでしまうという設定です。
当然ながらケータイ小説とはレベルがちがいすぎます、はい。

光源氏のマザコン女狂いロリコン!!
と柴田よしきさんもちょっとは思ってるんだな、と、可笑しかったです。


⑤群ようこ「あたしが帰る家」

娘に「あの人」と呼ばれ、外出したら帰ってこなかったらいいのに、と願われ、殺人計画まで立てられる父親。
軽く仕立ててあるけど、ブラックですね。

子どものころの私も、父が出張となると嬉しかった。
出張中止になって帰ってこられるとものすごくショックでした。
哀れな父ではありましたが、それ相応の理由もあるのでね。


⑥ぬまのまさこ「みんな夢見る少女だった」

昭和十年生まれの戦争を知っている世代。新制中学に移行した時代の女性です。
早稲田大学近くの土地で生まれて育った東京っ子で、それだけにきっとませていたのでしょうね。

この時代、都会の子と田舎の子はずいぶんずいぶんちがっていたはず。

そんな少女がだんだん成長していき、もう子どもじゃないんだな、と感じるところまで。
こういうのは大好きです。


⑦家田荘子「何キロやせたら綺麗になれますか」

まちがいなく体質ってあると思います。

食べ過ぎれば太る、摂取カロリー以上に消費すれば痩せる。
基本はそうなのでしょうけど、スムーズにダイエットできる人も、なかなかできない人もいる。

決して怠惰だとかだらしないとかではなく。

なのに現代日本は、痩せていることをもてはやしすぎますよね。
私も太りたくないたちなので、痩せすぎも綺麗じゃないよなぁ、でも、太目よりましだ、なんて感覚を持ってはいますが。


⑧唯川恵「刹那に似てせつなく」

復讐を肯定しているストーリィは嫌いです。
そんなことをやってるくらいなら、もっと建設的なことを考えたら? 最低の奴に復讐するのは、自分もそのラインまで降りるってことでしょ、と綺麗ごとを考えてしまうのですが。

だけど、このストーリィの主人公の復讐は肯定したくなる。
こういうことって現代ではありそうなだけに、いつなんどき自分が当事者になるやもわからず。

ラストはこうなるのかなぁ。こうしかないな。
切ないね、ほんと。


⑨五十嵐貴久「1981年のスワンソング」

この方の文章はものすごく細部まで細かく細かく書き込んであって、私とは合わないのですが、ストーリィは興味深い。
2014年のサラリーマンが1981年にタイムスリップするって、よくあるタイムスリップものとはいっぷうちがってますね。
そこもこの方の細かさがあらわれているのでしょうか。

ってか、ちゃんと意味はあるのですよ、もちろん。

現代の有名人が無名の姿でひょこっと出てきます、次々次々。

要するに現代のヒットソングを80年代に発表してヒットさせるという話なのです。
そんなうまいこと行くかぁ?
この曲、そんなにすごいかぁ?
やっぱり疑う人も出てくるよね、などなどの疑問も乗り越えて。

ラストに出てくるのはあの方。
そっか、そう来ましたか、なるほど。


こうして書いていると、やはり女性メインの作品が多いですね。

Kone


この子も女の子。
六か月を過ぎて避妊手術をして、ただいまはエリザベス・小梅になっております。


読書ノート24

①田辺聖子「田辺写真館が見た昭和」
 
何度も書いていますように、聖子さんは私の母と同い年です。生まれて育ったところも近く、母から聞いた幼少時と聖子さんの幼いころにはかぶる部分もいくらかあります。

ただ、聖子さんの家庭のほうがはるかにインテリですし、うちの母は少々ひがみっぽく感じてしまうようですが。

もはや昭和ひとけた生まれでさえも九十歳を超えていく年頃。
第二次大戦経験者は減っていく一方なのですから、こういった体験談はもっともっと語り継いでほしい。


②貫井徳郎「灰色の虹」

最初のほうを読んで、あ、これ、前にも読んでる、と思い出しはしたのですが、なにせザル頭で細かいことは忘れていますので、ミステリ二度目でも十分に面白かった。

この世でもっとも怖いもののひとつは、「冤罪」ですよね。

私は犯罪者にはならない。罪になるようなことは絶対にしないんだから、刑務所がどうたら死刑がどうたら、関係ないもんね、被害者になることだったらあるかもしれない。

と、そういう感覚の人間が大多数だとは思いますが、冤罪ってものが存在する以上、わかりませんよ。
絶対、なんてありませんよね。

主人公の気持ちも周囲の人間の気持ちも、わかる気がする。
こんなにもやりきれないストーリィって、そうそうはありませんよねぇ。


③重松清「ブランケットキャット」

たしかドラマ化されてましたよね?

重松さんの小説は好きですが、もしかして、猫ってものを知らなくないですか?
ブームだから猫を選んだだけじゃないですか?

人生の半分くらいは猫と暮らして、今、また仔猫を迎えた私としましては、猫はこんなんじゃないっ!! と力説したいです。
そういう意味で印象に残りました。


④島崎今日子「この国で女であるということ」

桃井かおり、吉田美和、北川悦吏子、一条ゆかり、扇千景、林真理子。
白石加代子、大島早紀子、白河直子、天海祐希、大竹しのぶ、田岡由伎。
室井佑月、藤間勘十郎、内田春菊、辛淑玉、山本容子、田嶋陽子、田辺聖子。
そして、坂東玉三郎。

知ってる人も知らない人も、嫌いな人も。
日本人ではない人も生物的には女性ではない人も混じっていますが、興味深く読みました。

桃井かおりと大竹しのぶ、女優としては大竹さんのほうが本物っぽいな、とかね。


⑤岩井志麻子「堕ちてゆく」

一時、志麻子さんの小説やエッセイをたくさん読みました。
ようもこんだけ女の嫌な面ばっかりクローズアップできるなぁ、と。

この連作集は全体に、もとは地味な田舎の女がなにかにはまり、堕ちていくさまを描いています。
その女と関わっていた別の女も堕ちていく……堕ちていく。
堕ちていく場所は人それぞれ。


⑥柴田よしき「MISS YOU」

そっかー。好きな相手は彼じゃなくて、彼女だったのね。
ルックスだけの女に振り回される男ってのはよくあるけど、逆もなくはないわけで。
切ないですな。


⑦サナ・エル・カヤット「アラブの女」

短気で男性優位で、妻を蹂躙するのが当然と考えていて、たとえ妻が外で働いていようとも家事は一切せず、育児だって女の仕事だと決め込んでいる。

アラブの男って近代的な教育を受けていても、そんなのばかりなんですか?
慣習がそんな人間をつくるのですか?

インドの女も近いところがあるように思えますが(都会と地方の差、貧富の差にもよるようです)、そんなら結婚なんかしなかったらいいのに、と日本の女は思う。

しかし、未婚の女は家の恥だとか、神さまにも見放されるだとか、社会や宗教的な根強い偏見のせいで、結婚はしないわけにはいかないのですね。

日本には別の偏見があるもんなぁ。
はぁああ、ですわ。


⑧星野知子「食べるが勝ち」

ラマダンのシリア、断食月。
高山病に罹って空気がおいしい中国青海省。

パラグアイ、インド、冬のアイスランド。
世界を旅してグルメではないものを食べた、

このひと、文章うまい。ノリもいい。
私と波長が合うみたいです。

「失楽園」のあの身勝手な五十男の妻役をなさってましたね。
最近は女優業をやっておられるのでしょうか。


⑨高橋秀美「男は邪魔!」

生まれながらにして男と女はちがうのだ。
男は馬鹿なのだ。男はなんにもわかってないのだ。

なーんて、卑下してるふりをして、実はなにが言いたいんですか?

性差よりも個人差のほうが大きいはずだと私は常々考えていますが、性差ってものもあるのかな、と思うこともままあったりして。

USBメモリとマックとWINDOWSのボーイズラヴ三角関係、これぞ女の妄想きわめつけ。
ってのがあるように、男の妄想もあるのですね。
性的な妄想に関しては、明らかに男と女のそれはちがうのですよね。

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去年の秋に猫のくぅが逝き、今年の夏にはちっちゃな猫の小梅を迎えました。
猫々猫々しているせいもあって、最近あまり書いていません。

読書はしていなくもないのですが、読書ノートはずいぶん久しぶりになってしまいました。
暑すぎてあまりなにもしたくない、今日このごろです。


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Qoo


白っぽいほうが小梅かぁ。
ちっちゃいなあ。

この間、くぅが教えてやったから、小梅がゴキ退治したやろ?

うん、ほな、くぅは寝るわ。
おやすみ~。


 

読書ノート23

①平山夢明「或るろくでなしの死」

人としてしてはならないこと、をテーマにしたものすごくいやぁな小説を読んで以来、平山さんは気になる作家のひとりです。いきなり訪ねてきた大学生男子ふたりに「おばさん、プロレスごっこしようよ」と言われた中年女性のストーリィなど、よくこんなこと思いつくなぁ、と。

それとはちがいますが、今回も近いテーマの短編集です。

これでもか、これでもかっ、という具合に登場する人でなし、ろくでなしたちの生態に呆れつつも、作家としての平山さんには拍手喝采です。

②乃南アサ「結婚詐欺師」

作家として拍手喝采といえば、乃南さんが私にとってはベスト。
エッセイを読むとそう素直な性格はしておられない気もするのですが、小説では人物像がわりと素直ってか。わかりやすく書いてるのかな。

その力量で、詐欺師が女心をつかんでいく過程を事細かに描写する。
相手の女性の境遇や性格によって、褒めたりけなしたりおだてたり脅したり、ちょっと怒ってみせてから後悔しているふりをしたり。いやいやいや、脱帽。

頭脳犯罪の犯人の応援をしたくなることもある私ですが、こいつだけは許せん。
私もころっとだまされてしまいそうで、怖いですねぇ。乃南さんも詐欺師にはなれますよ、きっと。

③椎名誠「海ちゃんおはよう」

息子の岳くんを主人公にした私小説も読みましたが、こちらは娘の海ちゃんが主人公。

奥さんと出会ったときの、ともに探検が好きで旅が好きで、それゆえに惹かれ合い結婚したというところが、時代もあらわしているし、清々しくていいなぁ。

今どき、そんな結婚は現実的じゃないかもしれないけど、ファンタジーみたいに素敵です。
孫ができておじいちゃんになった椎名さんの、若き日の物語。

④瞳みのる「ロンググッバイのあとで」

ザ・タイガースのドラマーだったピーの自叙伝のようなもの。彼がこんな暮らしはいやだと言い出してザ・タイガースは解散してしまうのですよね。トッポは失踪してしまったけど、ピーは自分の責任はまっとうしたと。

最近になって借りたザ・タイガース解散コンサートのライヴCDの中で、ピーが言ってます。

「僕はもう二度とステージに立つことはありません。最後のステージで……」
その言葉の裏話みたいな?

大阪で合宿していた楽しかったころを経て、東京で先端的な人々とも触れ合い、熱狂的なファンにもみくちゃにされ、時代の渦にも巻きこまれ、恋愛に破れ仕事に疲れ果て虚業がいやになって。

本人が書いたという体裁ですから、すべてを信じるのもどうかと思いますが、ひとつの時代を生きた団塊の世代の男性の、その中でも特殊な生き方をしたひとりの自分史みたいで、とても興味深かったです。
で、やっぱりステージには戻ってきたのね。三日やったらやめられないのね、ほんとに。

⑤恩蔵茂「ニッポンPOPの黄金時代」

図書館でこのたぐいの本を発見すると、まちがいなく借りてきます。

ロカビリー、日劇ウエスタンカーニバル、雑誌やテレビでちらっと見聞きした程度のそんなイベントの、その場に身を置いてみたかったなぁ。東京へそんなものを見にいけるような環境じゃなかったし、第一、ガキだったし。残念。

ザ・ヒットパレート、シャボン玉ホリデー、となると、親が見ていたかすかな記憶はあります。
「おとっつあん、おかゆができたわよ」のかたわれの方は、もうこの世にいないんだなぁ。

ビートルズが来日する前は、日本ではベンチャーズのほうが人気があったのだと初めて知りました。
私も同類ですから、大衆的に俗っぽくてわかりやすいもののほうが受けるのですよね。

⑥篠田節子「青らむ空のうつろの中に」

この方の力量も相当なものだと尊敬していますが、ちょっととっつきにくいかな。乃南アサ作品ほどたくさんは読んでいません。

なんつうのか、リアリストなのかな?
いやぁな話……平山夢明氏の書くいやな奴は、いくらなんでもこんなのいないでしょ、って感じですが、篠田さんの書く奴はどこかにいそうで怖い。

脱サラして信州でベーカリーを営む夫婦。東京あたりで震災が起き、被災者がどんどんやってくる。
無法地帯と化した町では自警団が結成され、物理的な「力」ばかりがものを言わせる世界になってしまう。
主人公は途方に暮れているけれど、妻は我が子を守るため、女としての自分の身体も使い、敵とみなした相手を殺すことも辞さない。

いつなんどきそうなってもおかしくない設定なだけに、うわぁ、いやな話を書く作家だなぁ、と思ってげんなりするのです。

⑦長岡靖久「我輩は駅長たまである」

この本を読むすこし前に、和歌山貴志駅長、たまちゃんが永眠しました。
たまちゃんが亡くなった直後は、ネットのたまグッズも売り切れ続出でしたが、古本だったらあったので買いました。

たまちゃんを愛していた人々も、一度は会いにいきたかったのにかなわなかった人々も、ほうぼうから彼女を悼む声を寄せていましたね。お葬式もものすごく盛況だったようで。

反面、虐待しただのストレスを与えて命を縮めただの言う人もいましたが。

本猫はなにも言わないので真相はわかりませんし、人間の希望的観測かもしれないけど、たまちゃん、楽しんでいたんじゃないかなぁ。彼女はきっと、廃線になりかけていた貴志川電鐵のために、天からつかわされてきた猫だったのですよ。だから早めに天に帰ったのです。

と、私は考えたい。
そう思ってたまの小説も書きました。
http://quianred.blog99.fc2.com/blog-entry-1448.html

⑧磯前順一「ザ・タイガース、世界はボクらを待っている」

たしか、私がはじめて友達同士で見にいった映画がこのタイトルだったはず。リアルタイムではなかったはず。

瞳みのる氏が書いたものよりは、こっちのほうが真相に近いのかな。書けないこともあるのかもしれませんが、「ロンググッバイのあとで」と重なる記述もたくさんあります。

タローさんはソロ活動、トッポもピーも個人的に活動していますね。
ジュリーは「往年の」かもしれないけどビックネームですし。
で、いちばんのスターは岸部一徳さんじゃありません? 

ザ・タイガースが一世を風靡していたころ、誰が四十数年後のサリーを想像したでしょうか。
ライヴCDなど聴くと、岸部さんは芸達者だと実感しますけどね。

⑨坂井希久子「ヒーローインタビュー」

メインキャラはほぼ架空ですが、あ、これ、山本マサ!! だったりするプロ野球小説です。

主人公は阪神タイガースの二軍野手、理容院で働く過去のある女性や、スカウトのおっちゃんや主人公の友達や、関西人たちが入り乱れて人情噺を繰り広げるところは、吉本新喜劇みたいでもありますね。

ものすごーく古いタイプの話の展開なのですが、そこがまたいいのかもしれない。プロ野球ってわりとおっちゃんたちの世界だから、いまだ、根性論一本の解説者なんかもいますし。

ラストもおさまるところにおさまって、よかったね、です。
こういうのはどんでん返しは不要ですものね。

**************

五年に一度くらい、日本では大地震が起きますね。
ついこの間、東北の震災から五年……といっていたら、熊本、大分で。

私にはなにもできませんので、ちょこっと募金をして、一日も早く被災者のみなさんがもとの生活に戻れるように祈っています。

Yjimagefutari


ワタシタチモトオクカラオウエンシテイマスヨ。

読書ノート22

①蓮森慶「日本チンチン電車の一日旅」

鉄子ってほどではないですが、電車は好きです。鉄道とまでは行かなくて、電車。
電車系のエッセイを読むのも大好きです。

日本でいちばん最初に路面電車が走ったのは京都だそうで、遠い昔を思い出してみれば、京都の路面停車場で友達と喋っている私、なんて光景も浮かんできます。

江ノ電、地元大阪阪堺電車、岡山、函館、くらいしか乗ったことないな。
日本中にまだけっこう路面電車が走っているのですね。全部乗ってみたい。

そういえば鉄ちゃんには、全制覇型もいるのだそうで。私もその傾向はあるかも。

②村岡恵理「アンのゆりかご」

一昨年でしたか、NHKの朝ドラ「花子とアン」の原作です。
最近は大河よりも朝ドラのほうが視聴率高いみたいですね。「あさが来た」は大人気のようですが、連ドラを見続ける根気がないので私はパスしています。「花子とアン」も見てはいません。

関東の地方都市出身の花子の父は、優秀な娘に勉強をさせてやりたくて、東京の女学校にやってくれた。
明治の終わりごろにそんなお父さんがいたって、いるところにはいるんですね。

これはもう、本当に運命だなぁ。
現代は自らの選択肢が多いけれど、昔は否応なく生まれた環境や親に人生を決められてしまった。

極貧の農村に生まれて、親の借金だの弟妹の養育のためだのに売られた女の子がいるかと思えば、村岡花子さんをはじめとする、ものすごく恵まれた女性もいる。

とはいえ、この時代の女性は等しく、戦争の苦労を経験していますが。
花子さんには恋愛や子どもの試練もあったけど、仕事の邪魔をしない夫を得た。この時代の女性としては、周囲の男性が最高だったんですよね。

③宮藤官九郎「いまなんつった?」

なんとなーく借りてみたエッセイ。
あまりよくは知らないクドカンさんなんですが、面白かったです。

現在十歳くらいになっているはずの娘さん、当時は幼児だったその子から耳打ちされた。
「お父さんの誕生日プレゼント、自転車だよ。ナイショだよ」と。
ツボにはまりました。

④町田康「猫のあほんだら」

わざとやってるのはわかりますけどね、回りくどいフレーズだらけ。
その文体が雰囲気には合っているのですけど。

奥さんと彼の猫との関わり。十匹くらいいるのだそうで、その猫たちの生態が面白い。
電車の中で読んでると笑えて困ってしまいます。
複数の猫と暮らす。あるいは、犬と猫と一緒に暮らす。永遠の憧れです。

⑤奥田英朗「オリンピックの身代金」

2020年のオリンピックなんて返上したらいいのに、と思っている私ですが。

この前の東京オリンピックの年、秋田の寒村で生まれて育って、学業優秀ゆえに上京して大学生になった男。
かたや、東京生まれで東京育ちのいい家のボン、遊び人のテレビマン。
結婚を夢見る若いOL。

この三人を軸に、当時の若者たちが描かれます。
秋田生まれの彼は結局はテロリストになってしまうのだけど、この当時、今よりももっとずっとはるかに、格差社会だったんだよねぇ。

誰もが大学に行かないとまともな就職ができない。
現代はそうなってしまって、奨学金問題などでむしろ若者が苦しんでいる。意外に若者の選択肢は乏しいのかもしれないな、と現代についても考えてしまいました。

⑥乃南アサ「地のはてから」

時代としては村岡花子さんに近いところからはじまる、ハードカバー上下巻の大作。

夫の借金でどうにもならなくなって、小さな子どもたちを連れて東北から北海道へ移住した女。
同じような時代なのに、花子さんとは百八十度ちがう境遇ですね。
こっちの女性のほうが多数派だったかもね。

主人公からその娘へと視点が移り、物語が進んでいきます。

娘のほうが都会へ奉公に出、サイダー、映画、洋食などいう、当時の田舎にはなかったものを経験してものすごいカルチャーショックを受ける。こういうのは現代の子どもにはまずないことでしょう。

なんだかね、生まれたところが悪かったよね。
と溜息つきつつ、乃南さんの力量は凄いなぁ、と感動したのでした。

⑦柚木麻子「けむたい後輩」

名門女子大に通う三人の女子。

病弱で誰もが守ってやりたいと思うような、天然で子どもっぽい真実子。

超美人の女子アナ志望、美里。

十四歳で詩集を出し、世の文学少女たちの支持と嫉妬を一心に浴びたのが快感で、そこにはまりっぱなしの栞子。

サイテーの女は栞子、として描かれています。
たしかに、アホな女たらし大学教授の愛人になり、そのあとは世をすねたヲタク、かっこいいこと言ってるだけですべてから逃げている映画監督志望の男、と、つきあっては、そんな自分に酔いしれている、ろくでもない女ではありますが。

けれど、このイタイ女に、私は感情移入してしまいました。
どこかしら私に似ていて、放っておけないというか。

誰もが認める努力型、才色兼備の美里は遠い世界のひとだし。

はじめは栞子に憧れていたものの、次第に彼女の本質を見抜き、最後には栞子をたじろがせる辛辣なひとことを放つ。そんな真実子に快哉を叫ぶ読者もいそうですが。

私、真実子がいちばん嫌い。
というふうに、読者の性格診断もできそうな気のする小説です。

⑧林真理子「秘密のスイーツ」

この時期、林真理子さんをたくさん読みました。
この本は彼女お得意の、不倫だのキャリアウーマンだの学歴偏愛主婦だのがテーマではなく、登場人物は少女たち。

不登校肥満児の小学六年生少女が、タイムトンネルを発見する。
そのトンネルを通じて、終戦直前時代の同い年の女の子と触れ合う。
そして、いろんなことを学んでいく。

ご都合主義ったらその通りですし、ありがちな設定ではありますが。
ラストがよかったなぁ。林真理子さんらしからぬ小説で新鮮でもありました。

⑨林真理子「ミスキャスト」

で、こっちは林真理子さんらしい小説です。

彼女の書く男ってまずたいてい、結婚してても恋愛というか、好みの女性には貪欲なのですね。肉食きわめつけ。だったら結婚すんなよ。

読んだ女性は呆れるのですが、今どきだったら若い男性でも、なんとバイタリティにあふれる奴だ。俺には無理。こんな生き方したくない!! と言いそうにも思えます。

本編の主人公も結婚して不倫して離婚し、不倫相手と再婚する。それから再婚相手の親戚の女の子とまたまた不倫し、妻には上手に隠したつもりで旅行に出かけたりもしている。
いい気になっていたら、なんと、不倫相手の女の子が自分の親に、すべてをぶちまけた!!

これは怖いでしょうねぇ。しかも彼女、イマツマの親戚ですから。

で、またまたまた離婚して、責任取って不倫相手と結婚するようです。
美佳子ちゃん(現在進行形不倫相手)、なんでこんな男に執着するの? なんでこんなのと結婚したいの? 彼はビョーキだよ。私だけは大丈夫、彼にはよそ見はさせないから、なんて思ってるのかなぁ。

ま、がんばってね、でありました。

Tamanita

いやぁ、読書って楽しいですね。
さよならさよならさよなら(^o^)


読書ノート21

①小室等「人生を肯定するもの」

小室といえば小室哲哉……でしょうけど、一昔前だったら等さんでしたね。
別のなにかで有名な方が執筆なさると、ほんとに自分で書いた? と疑う癖がありますが、書かれていることはおおむね事実ではあるでしょう。

音楽に関するさまざまなエピソード。中でも興味深かったのは。

井上陽水氏を武満徹氏のコンサートに連れていった。井上さんは「僕、こういうの好きじゃない」と言い放ってロビーに出てしまった。そのくせ、後の打ち上げでは武満氏と意気投合していた。

陽水氏って奇人のようですね。
あそこまでの大物はなにをやっても許される。飄々としているのかな。

②水無田気流「無頼化する女たち」

みなた・きりう、と読むそうです。

たった今読んでいる別のノンフィクションにも「林真理子はそれまで女のもの書きが書かなかったことを書いた。女のねたみ、ひがみ、そねみ、三みってやつとか」という記述があります。

そうだったのかなぁ? 本音は茨城のり子さんあたりも書いてらしたと思うけど、種類がちがったのかな。女性作家はわりと綺麗な書き方をしますからね。

その後に出てきた中村うさぎ、上野千鶴子、岩井志摩子、などがもっともっと泥ぐちゃの本音を下品に吐き出し、酒井順子あたりが上品そうによそおってその実……みたいな? うなずけます。

バブルのころから女たちが無頼化したと。
私も書くことは好きで、たとえば心にひっかかっていることを小説にするとすっとするから、いやぁな女(私が書くとたいしたことはないのは、文章力と表現力貧困)も書きますが、下品、露骨、性的描写などはあからさまには書けません。今どきこんなの古いんだろうな。

③柴田よしき「輝跡」

高校野球のスターだった青年がプロになり、案外活躍もできなくているときに出会った人々。

追っかけ女、初恋のひと、スポーツ雑誌編集長、彼ではない別の選手と結婚した、主人公のひとときのお相手、主人公の妻、周囲の選手たち、などなどの視点で描いた物語です。
こういうの、好き。

④菅佐知子「永遠の少年の娘たち」

永遠の少年というと美しいイメージですが、大人になり切れずに周りのひとたちを振り回す、特に女たちに悪影響を与える男性のことです。

魅力的で人当たりがよかったり。
まともな親に育てられていないので、インナーチャイルドが心の中で泣いていたり。
そんな男が結婚して父になると、娘がものすごく左右されるのですね。そんな例は私も知っています。

⑤田丸公美子「シモネッタの本能三昧」

日本人って堅いなぁ、と、私も日本人で、日本以外では暮らしたこともない人間ですが、近頃とみにそう思います。
人間、道徳観念の似たひととつきあうべきなんですって? 不倫を悪いことだと思わない人間は軽蔑されるべきみたいですね。ふーーーん。

恋はしたほうが負け→うんうん、その通り!!
だから、大好きな夫が浮気をしても許すの←そこまで惚れてりゃ幸せだよね。

召使というものは階級的にそう生まれついているもので、貴族は容貌からしてちがっている←ほぉぉ、そうなんだ。ちょっとむかつくけど。

というように、日本人には受け入れがたいのであろう感覚に満ち満ちていますが、読んでいる分には面白い。←以降は私の感覚です。イタリア人と完璧に言葉が通じて話せたら、私も腹を立てるかもしれませんね。

⑥奥田英朗「沈黙の町で」

ラストから冒頭に戻って永久に堂々めぐり。
苛める側の理屈みたいなものは、そうやって堂々巡りになるんでしょうか。

しかし、このいじめられっ子、ほんとにいやな奴だもんなぁ。
こういう子にはどう対処したらいいんでしょ? イジメ問題を追及するならそこまで考えないといけませんね。クラスの仲間とは全員と友達、みんな仲良く、なんて幼稚園児だって無理なんだから。

⑦読売新聞「こうして女性は強くなった」

大正時代に読売新聞がはじめて「家庭欄」というのを作ったのだそうです。
それから百年、日本女性はこう移り変わった、という本。

たしかに女性は強くなったのでしょうけど、世間の眼って今どきでもうるさいですよね。
土地柄もあるようでして、大阪では考えられないようなことも聞きます。
人は人、うちはうち、ってのも昔から言われてるんだけど、ほんとにみんながそう思っていればいいのに。

犯罪は別として、あんたには特に関係ないのになんでそううるさいの? って人、よくいるもんなぁ。

⑧林真理子「下流の宴」

で、その林真理子さんです。
私は時々この方の感覚に辟易するのですが、そこが絶妙なんですってね。
小説はそのおかげで巧みなんでしょうけど、エッセイでもそんな感じ。エッセイもやっぱり計算してるのかな。そうだとしたらすごいですね。

エリート意識のかたまりたる、真理子さんの分身みたいな母。
その息子の今どき青年と、その娘の今どき女。息子の彼女はその母から見れば下層階級の出で、彼氏の母を見返すためにも彼女はのし上がっていく。

俗っぽくて下世話で、計算されつくした本音全開?
上流家庭のみなさまは、きっとこんなふうに思ってるんですね。勉強になりました。

⑨米澤泉「私に萌える女たち」

今回はこのたぐいの本が多いです。

五十代姫は、萬田久子、黒木瞳、大地真央。
その上には桃井かおりがいる。

その世代を筆頭に、自分のほしいものはすべて手に入れ、中年になっても「おとな女子」で、可愛くありたい、綺麗でいたい、輝いていたい、と心から願い、本当に実現している女たちのノンフィクションです。

こんなの、一握りの先端女だけだよなぁ。
みなさん、人知れず努力はしているのでしょう。芸能人女性は肌が綺麗。顔はだんだん老けてきていても、一般人とはプロポーションもちがうし、ものすごく大変だなといつも思う。

そこまではしたくない私としては、今くらいでいいです。
お疲れさまです。苦笑。

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九月には、ほんとに秋になるの? 残暑がないって変、と思っていましたが、ほんとに秋になってしまいましたね。
寒いのは嫌いじゃないけど、これからは外で猫に会いにくくなるのが寂しい今日このごろです。

Koori


夏のおもひで

読書ノート20

①堀川アサコ「幻想郵便局」

わけありの匂い漂う郵便局は、この世とあの世のはざまにあります。描きようによってはホラーにもなりそうな題材が、のほほんとしたファンタジーになっていて楽しい。

②白須英子「イスラーム世界の女性たち」

決して異世界ではないと言いたいようですが、異世界ですよねぇ。理解しようと考えるのも無理な世界。
とりわけ近年はイスラム国というとISIL(ISと呼ばれているようですが、正式にはアイシルなのかな)が跳梁していて、こわっ、って感じ。

そういった国の女性には昔から興味があって、よくノンフィクションを読みました。こういう国で生まれて教育を受けると、当然だと受け入れてしまうひとのほうが大半なのかもしれませんね。

③小林カツ代「こんなにいろいろ食べてきた」

彼女のご子息のケンタロウくんが子どもだったころから、カツ代お母さんのエッセイでおなじみになっていました。そのカツ代さんは大阪出身。昭和初期には都会と地方の差は現代よりもはるかに大きかったみたいだから、都会育ちはけっこうハイカラだったりするのですね。

特に田辺聖子さんや小林カツ代さんみたいに、なかなかに裕福なおうちのちょいと贅沢も好む両親に育てられると、大阪のおいしいものを食べていた。裕福ではない家の出のうちの母でも、地方出身者と較べれば都会の経験をしているみたいですものね。

世代のちがう私も知っている、大阪のおいしいものがいっぱい出てくる楽しい本です。

④アンソロジー「クラシックロック語録」

私がロックにはまったあのころの音楽は、もはやクラシックロックですね。

ハードロッカーがパンクの悪口を、パンクスがへヴィメタをけなす。
ロビン・ザンダーは「現実がない」と嘆く。
ロッド・スチュアートは「サッカーがいちばんさ」と笑う。

ミュージック・ライフ誌を読んでいたから、記憶に残っている語録もあります。

「リンダ・ロンシュタットやイーグルスあたりの曲は糖尿病によくないんだよ」
って言ったのは誰だっけ? こういう毒舌、面白い。

⑤香月真理子「欲望のゆくえ」

相手が成人であり、お互いの合意のもとであれば、犯罪がからまなければなにをしてもいいみたいな不文律はありますよね。売買春は人間としてしてはならないこと、ですが、国によっては合法だし。

が、相手が子どもだとどうにもならない。私は以前から思っていたのです。
子どもでないと性的な欲望が抱けないという人間はあきらかにいるようです。それは犯罪だし、気持ち悪いとかいうのもあるのですが、単純に考えたら気の毒なひとだな、と。

そう思っていたら、そういった人間を研究しているこんな本を見つけました。

女が怖い男は欧米ではゲイに行き、日本ではロリコン方面に行くようですなぁ。
昨今そっちがどんどん増えていて、十六歳の美少女撮影会よりも、小学生の美少女のほうが人気あるとか。うううううーん、ではありますが、小児性愛者には我慢しろ、と命令するしかないのか。

神はなんのためにそんな人間を作ったの?
なんて言い出すとキリがないんですけどね。

⑥奥田秀朗「噂の女」

奥田氏の出身地が舞台らしいですが、はっきり書くとその県の方々が怒りそうな小説。

主人公に愛されたと思い込んで殺されていったおじさんたちは、ある意味幸せだったんじゃありません?
女性が結婚詐欺に遭うと怒り狂うことが多いようですが、男性の場合、彼女に限って、しかも俺に対してそんな真似をするはずがない、のっぴきならない事情があったんだ。俺だけが彼女をわかってやっているんだから訴えたりしない、とかいうことも間々あるとか。

それはそれで美しいお話ですよね(苦笑)

⑦福田和代「怪物」

映画にもなったサスペンス小説です。

佐藤浩市と向井理が主演だったのですね。映画は見ていませんが、イメージは合っています。
定年間近の刑事と、刑事が「怪物」だと信じて追う美青年。どっちがどっちを演じたのかは、なにも知らない方にも即、おわかりだと思います。

ハードボイルドな刑事がかっこいい。ハードボイルドは現代にはそぐわないので、小説に出てきても噴飯ものだったりするのですが、この主人公はかっこいいです。
どっちが「怪物」なんだ? という問いも深くて、考えさせられました。

⑧シーラ・バーンフォード「三匹荒野を行く」

ブログで書いている拙作にご感想を下さった方がこの物語を取り上げておられまして、あ、私も読みたい!! となりました。この物語の存在は知っていましたが、読んだことはなかったはず。

犬が二頭、猫が一匹。擬人化はされていますが、犬は犬で猫は猫。らしいなぁ。

人間に愛されて育てられた犬と猫だけに、利用できるところはちゃっかり人間を使うのですね。動物愛護精神がしっかりしているイギリスらしい。

家族がイギリスに行くために、三匹は知人に預けられる。
その知人が旅行に出かけていき、だったら我々も家に帰ろう!! と決めて、三匹は冒険の旅に出るのです。その知人から留守宅を預かったハウスキーパーのおばさんが気の毒ですが。

こうやって何か月も旅をしていたら、感動の再会ってのは犬はともかく、猫は忘れちゃってるんじゃないかと思われますが、それを言ったら犬と猫は三匹で旅に出たりしないので、堅いことは言わないでおきましょう。

⑨貫井徳郎「新月譚」

俗っぽいストーリィだな、とは思うのですが、それと「面白い」という事実は別。私は俗っぽいものが好きだから、体質的に合っていたのもありました。

美貌の58歳作家が筆を折った理由、が物語の主題です。
このあとに「永遠の少年」をテーマにしたノンフィクションを読んで、ああ、そっか、と手を叩いた。主人公のあ愛した男がまさしく、永遠の少年なのですね。女にとっては死ぬほど厄介な奴です。

でもね、こんなんで素晴らしい小説が書けるなら、私も失恋したいわよ。
……身も蓋もなくてすみません。

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かなり久しぶりの読書ノートでした。

晴れているのに雷さんがごろついて、晴れたまんまでざーっと雨。
そしてじきにやんだ。

このくらいの雨だと涼しくもならないけど、豪雨なんていやだから、夕立も好きになれなくなってきた。
近頃の気象は異様ですものね。

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また、たまです。


読書ノート19

①西岡信雄「楽器からのメッセージ」

音痴ではないつもりですが、音域が狭いので歌もまともに歌えない。楽器は全滅。
なのに音楽を聴くのは大好きで、それが高じて音楽っぽい小説を書いています。

楽器に関するものにはなんでも興味があって、ギターフィギュアやら楽器のストラップやら、音符タオルやらギターの絵葉書やら、見かけると買ってしまいます。

ですから、こんな本も大好物。もちろん、楽器についていろいろ解説してくれているサイトも好きです。
この本はもっと学術的、論文的、専門的なのかと敬遠しそうになっていたのですが、案外ド素人にもわかりやすくて面白かった。

「山寺の和尚さん」をオウムに教えたら歌えるようになって、そのオウムがその子にも教えたという、微笑ましいエピソードもありました。

珍しい楽器を知って、音が聴いてみたくてyou-tubeを探したら、たいていあるのですよね。
便利な時代になったもんだ。

②乃南アサ「ウツボカズラの夢」

最近、いちばん好きな作家といえばこの方、乃南さんです。
たまーにはハズレもありますが、おおむねはアタリの小説を書かれますね。
今回はミステリではないけど、サスペンスふうではあるかな。

十八歳で長野県から東京に出てきた女の子。母のいとこ、尚子さんの家に住まわせてもらい、その女性の息子や姑をたぶらかして取り入っていく。
こわーい女です。

ただ、尚子さんを不倫相手の若い男が妻として迎え入れたり、いくらおばあちゃんに押し切られたとはいえ、尚子さんの息子がこの主人公の完全に手玉に取られていいようにころがされたりっていうのは、若い男性の感覚についてだけは違和感アリでしたが。

乃南さんってば、若い男はアホだと思ってますか?

③小川一水「ココロギ岳から木星トロヤへ」

かなり久しぶりでこの手のSFを読みました。

シンプルに表現すれば、蛇というか大根というか、カイアクという名の時間的に長~い生き物が関わった、23世紀の少年たちと、21世紀のココロギ岳で観測の仕事をしている女性とその上司のすったもんだなお話です。

時間生物ってなに? 意味不明、とおっしゃる方は読まないほうが無難です。
私にも意味ははっきりとはわかりませんが、それはそれで面白かった。SFになじみのある人でないと、まーったくわけわからん、だと思いますが。

著者の小川さん、すごーいイマジネーションだなぁ。

④ごとうけいこ「ツブログ」

うちのくぅと、このツブって猫は同い年なのです。

へその緒がついたままで捨てられていた四匹の赤ちゃん猫たち。三匹はよそへもらわれていき、ツブだけが犬と人間たちのいる家庭で育てられます。

こういうのってたまらん。泣けてきます。

⑤乃南アサ「ニサッタニサッタ」

またまた乃南さんです。
本作品はこわーい女ではなく、けなげな女が出てくる。
けっこうアホな男も出てきます。
やっぱり乃南さんって、若い男は基本、愚かだと思ってる気がしますね。

転職したりせっかく就職した会社が倒産したり、派遣の仕事に就いたら病気になって棒に振り、自棄になってパチンコをしたら大儲けしたものの、ゆきずりの女に盗まれ。
「塞翁が馬」に近いような人生を送ってきた主人公の前にあらわれた女。

彼女もまた主人公のばあちゃんやお母さんに気に入られて、いつの間にか……って感じですね。

それにしても、主人公の父親ときたら。
妻に母を託して家出して、よそで別の女と暮らしている。若い男だけではなく、中年男も愚かです。

その妻は夫が残していった姑の面倒を見てるんだもんなぁ。そっちも愚かといえば愚かかもしれないけど、ばあちゃんを見捨てるわけにもいかんでしょ、って気持ちはよくわかるのでした。

⑥桑田英彦「英国ロックを歩く」

五年前にイギリスに旅をしました。
リバプールでビートルズの足跡をたどり、ロンドンではCDショップのロックコーナーに感動し、音楽的な興味も満足させてはもらったのですが。

この本があったらさらに感動的だったはず。
レッドツェッペリンの聖地やら、デュランデュランのジョンとニックが打ち合わせをして喫茶店やら、ローリングストーンズやエリック・クラプトンゆかりの地やら。

ああっ、もう一度この本を持って、イギリスに行きたいっ!!

⑦井上剛「悪意のクイーン」

大好物のイヤミスです。
後味の悪いミステリがお嫌いな方は、くれぐれも読まないで下さい。
私は大好きですから、とーっても面白かった。

死んでしまうのが○○○なのもあって、登場人物の誰にも共感はできません。
もしかして著者って、本心では女を馬鹿にしてる? と思わなくもないし、これって避けようと思えば避けられることばっかりなのに……とため息が出ますが、小説としてはすごいです。

⑧大槻ケンヂ「散歩マン旅マン」

大槻さんも好きですから、彼の著書を見ると読みたくなります。
これは紀行エッセイのたぐいですね。

まだ彼が若くてお気楽な部分もあったころ、それでいて、筋肉少女帯が行き詰って解散しようかと悩んでいたころ、あちこち旅してバンドマンとしての活動もしていた彼も、いつの間にやら立派な中年になりましたね。

⑨横森理香「をんなの意地」

「おんな」ではなく「をんな」なのはどんな意味が?

コスメライター加奈、ファッション雑誌の副編集長美也子、金持ち男の二号さんをしているナオ。
三十代後半の三人の女たちの生きざまを描く、って感じの物語です。

まあ、しかし、内心では互いに相手を無茶苦茶に罵っているくせに、なんとなく一緒にいると居心地が悪くはなくて、妙に安心して安らいでいられる。
相手に嫉妬したり羨望したり、優越感を抱いたり、私のほうがましよ、なんて思っていたり。

あまりのいやらしさにちらっと吐き気がしたりしつつも、気持ちはわからなくもないかなぁ、なんて。
女性に幻想のかけらくらいは抱いていたい男性は、お読みになりませんように。

以上、2014年の夏のはじめまでに読んだ本たちでした。


Fuusen

このころに生まれてはじめて見た、プロ野球オールスターゲーム。
甲子園の夜空に舞い上がるジェット風船の群れです。


読書ノート18

①篠田節子「第4の神話」

一部分は誰かがモデルって感じ。
芸大声楽科卒の美人セレブ妻が自身の体験をもとに小説を書いて売れっ子になり、若くして亡くなり、そんなひとがいたということを世間から忘れられていく。

彼女の評伝を出すために、女性フリーライターがさまざまな面から生きていたころの彼女を掘り起こしていく。
何人ものひとから聞き出した彼女のいろんな顔。果たしてあの作家はどういう女性だったのか?

有吉佐和子さんの「悪女について」と似た手法で、たいへんに面白かったです。

調べられていく過去の作家と、現在生きてはいるけれど、もうじき四十歳になる地方出身の独身、仕事もあまりないから今回は起死回生のつもりのフリーライターと、ふたりの女性の対比も興味深かったのです。

②益田ミリ「47都道府県女ひとりで行ってみよう」

イラストレーターでもある著者は、こんな仕事をしているわりには食べ物の好き嫌いが多く、ノリがよくない。テンション低い。とーっても私に似ています。

音楽が好きで時々はライヴに行くものの、私はいつだってどこかで醒めている。
周囲の熱狂をよそごとのように感じていたり、感動や感激はしていても、近くで「きゃーーっ!! 甲斐さんっ!!(仮名)」だとか叫ばれたり、ステージでのMCに呼応して「甲斐さん(仮名)がいてくれたからよっ!!」なんて言われたり、振付に合せてイタイ素人ダンスを踊るひとがいたりすると恥ずかしくてたまらない。

そんなにノレていいなぁ、とも思いながら、別のことを考えていたり、なにかしら分析していたりする私の性格は、おそらくどこかしらミリさんに似ているのでしょう。
ですから、かなり共感できました。

③田辺聖子「欲しがりません勝つまでは」

第二次大戦を知っているひとがどんどん少なくなっていく昨今。この世代の作家さんが書き遺すことは非常に貴重で重要ですね。

私の母と近い年頃、近い境遇、大阪の商家で育ったというところからも、聖子さんには親しみを覚えていす。もっとも、聖子さんちのほうがはるかにインテリのようですが。

戦時中の愛国少女としての彼女の日常は、他のエッセイでも何度も読みましたが、何度目だって面白い。その上にこの本には、当時の田辺聖子さんが書いていた小説が載っています。お母さんが防空壕にまで持っていって、大切に保管してくれていたのだそうです。

④貫井徳郎「灰色の虹」

ひとりひとりは極悪人でもないのに、不幸な偶然が重なって、主人公の人生は何人もの手でずたぼろにされていく。

愚かな母、自分がいちばん可愛い姉(その気持ちはよくわかる。私はこの姉の立場に近いので、私もこうなりそうだなと思った)、冤罪によってすべてをなくしてしまった主人公が、出所してから……という物語。

この世の中に怖いもの、いやなものは多々あれど、刑務所に入るというのはその中でもワーストスリーに入ることだと思うのですね。
犯罪を犯したのだったらまだしもしようがないけど、冤罪!! これはまちがいなく、絶対に経験したくないことのひとつです。

⑤乃南アサ「いちばん長い夜に」

去年NHKでドラマ化した、「陽のあたる場所」シリーズの最終ストーリィです。
巴子が上戸彩、綾香が飯島直子。女優さんだから美人すぎるって難がありますが、いい味出してましたね。原作にはないエピソードも加わっていましたが、最近では大河ドラマ以外では唯一、ほぼ全部を見たドラマでした。

今回は巴子が綾香の子どもを捜しに仙台に出かけていき(ドラマでは綾香は富山出身になっていましたが、震災に触れないためかな)、そこであの地震に遭遇する。
ものすごいリアリティがあると思ったら、乃南さんが取材のために仙台に行っていて経験したのだそうです。さすが、乃南アサの文章力。臨場感たーっぷり。

そうして知り合った弁護士と、巴子はつきあうようになる。巴子には一時ヤケになってホストにはまり、お金に困り、売春をやってその相手のお金を盗んで刑務所に入れられていたという過去があるのですね。

現実的に考えたらそういうエリートがムショ帰りと結婚するとは思えませんが、弁護士だったらそのあたり、理解しやすいだろうし、いろんな事情もわかるだろうから、小説でだったらしっくりぴったりはまる相手役だと思えました。

⑥酒井順子「女流阿房列車」

負け犬で有名な酒井さんは、女鉄ちゃん、いわゆるテツコでもあるそうなのですね。
スイッチバックってなんだっけ? なんて疑問を持つ程度で、私はテツコではありませんが、鉄道はけっこう好き。

鉄道好きにも多種あって、電車そのものが好き、駅が好き、線路が好き、スイッチバックだとかのたぐいが好き、車窓が好き、とにかく電車に乗るのが好き、などなどだそうですが、私もいろーんな電車に乗りたい。まとまった暇はあまりなくても時間はなくもないから、資金がほしい。

⑦桂望実「嫌な女」

主人公、徹子の遠い親戚の女の子、夏子はほんと、いやな女なんですよ。

彼女たちが子どもだったころに、ばーちゃんがおそろいのひまわりのワンピースを作ってくれる。すると夏子が「私のほうが似合うから」と言って、徹子のワンピースを破ってしまう。徹子は永遠にそのことが忘れられない。

なのに、弁護士になった徹子に夏子が厄介をかけまくるのです。
はっきり姿をあらわさない夏子と関わった人々が、徹子に無理難題を持ち込んでくる。新米弁護士の時代から、徹子が老人になった近未来までの大河小説です。

弁護士事務所の事務員のおばさんを、最初はうっとうしいと思っていたのがだんだんいい感じになってきたり、嫌な女の夏子がん? って感じになってきたり、大河小説ならではでしょうか。この作家さん、お話を作るのが上手ですね。

⑧二谷友里恵「愛される理由」

この読書ノートには、悪い意味で印象に残った作品も取り上げています。
そっちの代表。

はー、いいんですけどね。

バブル真っ最中の女子大生、父も母も有名俳優のひとり娘。まー、もー、へー、あなたってそんなにかっこいい女なのね。素敵ぃ、としか感想の持ちようがありません。
生きている世界がちがいすぎて、嫉妬のしようもありませーん。

結局は郷ひろみと離婚して、ひろみさんは娘たちに会わせてももらえないと発言していましたが、この本の後はどうなったのでしょう。
そっちも友里恵さんが書いたとしたら、どんなお話になるんでしょうね。ちょっと読みたいかな……読みたくもないかな。

⑨堺雅人「文・堺雅人」

もひとつタレント本です。

ひらがな、カタカナへのこだわり、サブタイトルは漢字一文字。自分で書いたのか? 彼のキャラクターに合せて、企画会議でこんなこだわりを出した本にしようと決定したのか。

映画のほうだったはずですが「壬生義士伝」で沖田総司を演じていたのを見て、堺雅人という俳優を知りました。
その後、大河ドラマ「新選組!」で山南敬助役について、一躍注目を浴びたのですね。

山南敬助が切腹して果てるのは史実とされている(確証はないはずですが)のですから、ドラマにも出すしかない。にも関わらず助命嘆願書が届いていたそうですから、えらい人気だったのですよね。私もあの山南さんは好きでした。いつも目が笑ってないなぁってふうで。

それから「篤姫」で徳川家定を演じて、完全にスターになった。
かつては知的障碍者らしいとされていた家定をまったくちがったキャラに設定したところは画期的で、「篤姫」は近来にないほどヒットしたんだそうですね。

で、そのあたりから私は堺雅人を嫌いになりました。
なんでだろ? なんかこう気に食わない。芸能人を嫌いになる理由なんてそんなもので十分ですよね。
なのにこんな本を図書館で借りたのは、堺雅人ファンが読みたいと言ったからです。

そのくせ、ファンは読まなかったので私が読んだ。
前置きが長くなりましたが、この本を読んで堺雅人氏をちょっとだけ見直したかな。自分で書いたのではないとしても、思想がユニークなひとなのはまちがいない……んでしょうね? ですよね?

だけどやっぱり俳優としては好きじゃないな。
去年だったか、菅野美穂さんと結婚したと知った彼のファンは、「結婚相手が普通すぎるというか、当たり前すぎてつまらない」と嘆いていました。

Photo

ちょっと珍しい色の曼珠沙華。今年の大阪はやけに秋が早いです。

久しぶりの読書ノートでした。

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