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2019年5月

198「ランダムメモリ」

しりとり小説

 

198「ランダムメモリ」

 

1

 

 なんだろう、この感情は……感情? 私に感情などあるのか? 感情とは人間特有のものなのではないか? 動物にも植物にも人間とは別種の「感情」のようなものがあると学んだが、私にもあるのか? あったら大変な事態なのではないのか。

 

 そんなことばかり考えているわけにはいかない。私には仕事がある。

 

 仕事となると抜いたり挿したりされる記憶媒体。抜き差しされるたびに「感情」のようなものが刺激される。これではない、いや、これでもない。これでもないこれではないこれとはちがう!!

 

「ああ……」

 

 ようやく、ようやく、これだ!! と感じた。

 

 やはり私にも感情があるのだね。人間だったら「恋情」「愛情」と名つげるであろう感情。あなたでないといけない。あなたでないと満たされない。

 

 

2

 

「……なんだ? 喜んでない?」
「なにが喜んでるって?」
「このパソコン」
「パソコンが喜ぶ? どういう意味で言ってんだよ?」
「どういうって……その通りだよ。言葉通りの意味で、パソコンが喜んでる」
「なんでパソコンが喜ぶ? どういう理由で?」
「さあ……」

 

 アホか、おまえは、と同僚は言い、彼女のそばから離れていってしまった。

 

 うむ、どうも私は疲れている。研究で疲れていて喜怒哀楽が摩耗しているらしく、パソコンを擬人化したがっているのかもしれない。彼女はおのれを納得させようとしたが、パソコンが歓喜しているとの錯覚は去ってくれない。

 

「やっぱ喜んでるよな? んん? なに? この媒体が好きなの?」

 

 一瞬、パソコンのモニタに電流のようなものが浮かんだ。ほんの一瞬。
 マイクロチップを抜くと、またまたかすかに電流が走る。別の記憶媒体を挿入してもなにも起きない。あれこれ、それどれ、次々に別のものをセットしてみる。その中のひとつ、極小のチップを挿したときにだけ、パソコンが反応するのである。

 

「駄目だ。私、どうかしてる……今日は早く帰ろう」

 

 なぜかパソコンが、そのチップを挿したまま帰って、と言っているように思えて、彼女の全身がぞわぞわっとした。

 

次は「り」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラスの靴49「魅力」

「ガラスの靴」

 

 

     49・魅力

 

 忘れかけていたひとたちに会った。

 

「おまえはいつまで根に持ってるんだよ。あのときのあたしは機嫌が悪かったんだ。おまえみたいなお気楽な専業主夫にはわかりっこない苦労が、働く女にはあるんだよ。いつまでもすねてんじゃねえんだ。いい加減にしろ」

 

 アンヌに叱られたので反省して、忘れようと決めたことが起きた日に会ったひとたちだ。

 

「おまえだって男なんだから、浮気願望はあるだろ」
 その日にも吉丸さんに訊かれ、父も別の日にこう言った。

 

「アンヌさんは奥さんらしいこともせずにおまえに息子もまかせっぱなしだ。そんなだと浮気をしたくなるだろ」

 

 いや、僕はアンヌひとすじの貞夫の鑑なのだから、浮気願望なんてない。お金になるんだったらよその女に抱かれてもいいけど、怖いしなぁ、と思っている程度だ。
 貞夫の鑑から見れば、吉丸さんなんかは信じがたい。吉丸さん以上に信じられないのが、あの日に会ったフジミだった。

 

 レコーディングが長引いて帰宅できない妻のために、お弁当を届けてあげよう。胡弓にはママの仕事場を見せてあげたい。そのつもりでアンヌのスタジオを訪ね、氷みたいにつめたくあしらわれたあの日、公園で会ったフジミ。

 

 そのひとがいる。
 小柄で髪が長くて、一見は若くて可愛いアイドルミュージシャンふう。本当は二十三歳の僕よりも十歳以上年上なのだから中年だが、可愛いタイプで性格のだらしない男、しかもミュージシャンとなるともてるらしく、女が彼を放っておかないのだそうだ。

 

 何度結婚して何度離婚し、何度再婚したのか、友人の吉丸さんにもつかみ切れない。あの吉丸さんをして、そういう男は結婚しなけりゃいいのに、と言わしめるのだが、フジミはなぜか結婚したがる。現在は何度目かの再婚をして、何度目かの妻だった女性と不倫をしているらしい。

 

 僕が浮気をしないのは貞淑だからもあるが、それ以上にメンドクサイからだってのに、フジミさんってなんたるバイタリティのかたまりなんだろ。

 

 妻帯者は夫人同伴のこと、という但し書きがあったので、あたしはおまえを連れていくんだ、とアンヌが言った、アンヌの仕事の集まりだ。想定しているのは男で、夫のいる女を数に入れていないのが気に入らないと言っていたが、こんな場合、喜んで妻についてくる夫は少ないのではないかと。

 

 もちろん僕は喜んでついてきた。
 パーティというのでもないが、ごちそうも出ている。テレビや雑誌で見たことのある人も歩いている。フジミさんもミュージシャンで妻帯者だから、史子さんという名前だったはずの奥さんと同伴して出席していた。

 

「フミちゃんってば、上手にだましたよね」
「私がだまされたのよ」
「ったって、よくも結婚してもらえたよね」
「私が結婚してやったんだってば」

 

 意地の悪い口調で史子さんにからんでいる女は、色っぽい感じのグラマーだ。史子さんは彼女をユイちゃんと呼んでいるから、友達なのか。にしてはユイさんは史子さんに悪意を持っているような気もした。
 例によってアンヌは仕事仲間に囲まれていて、僕はひとりぼっち。僕はあちこちでこうしてひとりで、他人の会話を盗み聞きしている。シュフは見た、ってドラマにでもできそうな。

 

「フジミさん、気の毒に。だまされて結婚させられてさ」
「大きな声で言わないでよ。誰がどうだましたっての?」
「だってぇ……」
 
 くねくねっと身体をよじって、ユイさんはむふふと笑う。史子さんがユイさんに喧嘩腰で迫っていると、突然、ユイさんの態度が豹変した。

 

「あら、はじめまして。フジミさんですよね。私、史子の親友の優衣子です」
「こんにちは、はじめまして」

 

 豹変した理由はこれか。史子さんは苦々しい顔になって、それでもフジミさんに優衣子さんを紹介している。フジミさんもにこにこして、三人で談笑をはじめた。

 

「フミちゃんみたいな素敵な女性と結婚できて、フジミさんはハッピィでしょ」
「ああ、まあね」
「私には友達はいっぱいいるけど、フミちゃんほどの女性は他にはいないのよ。フミちゃんほどの女がつまらない男と結婚するなんて言ったら妨害してやろうかと思ってたくらい」
「それはそれは……」

 

 よくもまあぬけぬけと、と僕も思うのだから、史子さんはなおさらだろう。史子さんは無口になり、フジミさんはやにさがっている。史子さんは僕に気がついてそばに寄って来た。

 

「アンヌさんの旦那、笙くんだったよね」
「そうでーす。僕のこと、覚えてた?」
「ムーンライトスタジオの近くで会ったよね。今の、聞いてた? むこうに行こうか」
「聞いてたけど……離れていいの?」
「いいのよ」

 

 今の、とはフジミさんがあらわれる前とあとの優衣子さんの台詞だろう。離れていいの? と僕が訊いたのは、あの男と色っぽい女をふたりっきりにしていいのか、という意味だったのだが、史子さんがいいと言うのでちょっと離れた場所に歩いていった。

 

「あの女、ユイって男から見てセクシー?」
「僕の趣味でもないけど、セクシーではあるね」
「笙くんって変な趣味なんだってね。吉丸さんが言ってたわ」

 

 悪かったね、ほっといて。

 

「ユイって女にはわからない魅力を持ってるんだろうね」
「フェロモンとかってやつ?」
「それなのかもしれない。昔はイラッと来たもんよ。ユイは誰かの彼氏を紹介されると、自分のものにしなくちゃいられないの。あたしはこんなに魅力的なんだから、どんな男もあたしにはイチコロで参るんだってところを見せずにいられないらしいのよ」

 

 噂になら聞くが、本当にそんな女がいるんだ。僕は会ったことはないけけど、男にはわからないだけなのだろうか。

 

「そしてまた、迫られた男もまず百パーセントの確率で落ちるんだよね。ユイってそれほど魅力があるんだと思ってた。ユイは今でもそう信じ込んでるんだろうな」
「ちがうの?」

 

 ふたりして同じほうへ視線を向ける。そこには男にしなだれかかる女と、そうされてにやけている男がいた。

 

「それはあるんだと思うよ。だけど、そんな女やそんな男ばっかりじゃないはずよね。私の知り合いって、そんな男と、そんな男としかくっつけない女としかいないの? 考えたら憂鬱になっちゃう」
「うーん、そうなのかなぁ」
「でもね、それだけじゃないって気づいたの」

 

 顔を僕に近寄せてきて、史子さんは言った。

 

「ユイは人のものを欲しがるガキなのよ」
「ああ、他人のおもちゃをほしがる子どもね。うちの胡弓の友達にもたまにいるよ」
「そうそう。それに近いんだよ。でね、フジミも同類なの」
「そしたら……」

 

 やっぱあの男と女をふたりきりにしておくと危険じゃないか、そう言いたい僕の気持ちを読んだかのように、史子さんはかぶりを振った。

 

「いいのよ、もういいんだ。フジミには愛想が尽きた。ユイがほしいんだったら持ってけって感じ。どうせ自分のものになったら、すぐに飽きるんだから」
「ふーむ」

 

 そう言われてみると、僕も気がついた。
 何人もの女性に恋をして、だか、恋をしていると錯覚してだか、そのたびに結婚しては離婚してまた結婚する。そういう男は次の彼女を手に入れるためには、前の彼女と別れなくてはならない。フジミさんはあからさまな二股はやらないらしい。

 

 別れるためには彼女に愛想尽かしをさせて、捨てられるように持っていく。恋多き男女とは、別れるのがうまい奴。そんな話も聞いたことがあった。
 あの男、あれで案外……案外、なんなのかはいっぱいあって言い切れないが、ひとつだけ。ああいうのを恋愛上手と呼ぶのだろうか。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2019/5

フォレストシンガーズ 超ショートストーリィ

 

かたわらでどこかで聴いたことのある歌を口ずさんでいる男は、俳句や短歌にはすこぶる強い。おかげでフォレストシンガーズ内では、和歌の話題に花が咲いたり句会をやったりと、章には大迷惑だ。対外的にもなにかといえば、では、ここで一句、などと振られる。

 

「それは乾さんの得意技。俺は苦手ですよ」
「そうなんですか」

 

 先日もラジオで、フォレストシンガーズは全員が俳句や短歌が好きなのかと思った、と女性DJに言われてしまった。

 

「初夏の短歌、楽しみにしてたんですよ」
「短歌は一句とは言わない。一首です」
「やっばり木村さんも得意じゃないですか」
「この程度で……」

 

 得意では決してないが、影響は受けてるな、と木村章は思うのであった、

 

「夏も近づく八十八夜、 野にも山にも若葉が茂る」

 

 童謡? 唱歌? どっちでもいいけど、要するにガキの歌だな。章はちらっと考え、かたわらで歌っている乾隆也に訊ねた。

 

「その歌詞って、北原白秋とか……」
「とか?」
「えーと……滝廉太郎とか……えーと……」
「滝廉太郎は作曲家だろ。他には?」

 

 有名な作詞家の名前を述べよ、とでも言われているらしい。

 

「フレディ・マーキュリーとかエルトン・ジョンとかね」
「章らしい答えだな。で?」
「いや、だから、その歌の、夏も近づく八十八夜って、誰が作詞したのかなって気になって……」

 

 そういうことか、とわかっていたくせに納得してから、隆也は応じた。
 作者不詳、なのだそうだ。ああ、そういうのもアリなんだな、と章も納得した。

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガラスの靴48「正義」

「ガラスの靴」

 

     48・正義

 

 変な奴がデフォルトというのか、そんな人種ばっかりの音楽業界は僕の住む場所ではない。こうして胡弓を連れてスーパーマーケットへ買い物に出かけ、その前に近所の公園に寄って息子を遊ばせる、こちらが僕の日常生活だ。

 

 妻はミュージシャン、僕は専業主夫。わりあいに高級なマンション街には専業主婦はたくさんいるが、主夫となるとほんのちょっぴりだ。二十三歳の子連れ美少年が公園にいると浮く。今日は知り合いの姿も見えないから、僕はおとなししく胡弓を見守ることに専念していた。

 

「……うちの主人、どこへも連れていってくれないのよね」
「白木さんのご主人はお忙しいから」
「ほんと、うちって母子家庭みたい。黒田さんちはどうなの?」

 

 子どもはどこかで遊んでいるのだろう。僕の隣には主婦らしき女性がふたりすわっていて、お喋りをしている。僕は暇なので、黒田さんと白木さんの会話を聞いていた。

 

「うちの主人も忙しいよ。だからどこかに連れていってもらおうなんて思わないの。大人なんだからひとりでどこにだって行けるじゃない」
「ひとりで? 女がひとり旅なんかできるわけないでしょ」
「そんなことないよ。私は独身のときにはよくしたよ」
「……勇気があるんだね」

 

 そういえば僕もひとり旅なんかしたことはないなぁ。アンヌは家族サービスだといって、遊園地に連れていってくれたりはするから、優しい奥さんだよね、とわが身を顧みる。勇気があるんだね、と言ったのが白木さんで、彼女は黒田さんを咎めるように見た。

 

「勇気なんかなくても、日本語の通じるところだったらひとりで行けるじゃない」
「近く?」
「近くもあるけど、独身のときにはひとりで北海道だの九州だのにも行ったな」
「泊まり?」
「そりゃあそうよ。遠出をしたら泊まるよ」
「ひとりで?」
「うん、ひとり旅だって言ったでしょ」

 

 信じられない、と呟く白木さんを、黒田さんは愉快そうに見返した。

 

「ひとり旅も長いことしてないな。白木さんと話していたらしたくなっちゃった」
「危険だよ、ひとり旅なんて」
「国内だったら大丈夫だってば。英語の通じるところだったら海外でも意外に平気よ」
「海外ひとり旅なんかしたの?」
「二回だけね。香港とロンドンに行ったの」

 

 再び、白木さんはシンジラレナイと呟き、黒田さんは言った。

 

「日本は治安もいいし、まるっきり平気よ」
「女ひとりで旅館に泊まるなんて言ったら、自殺するんじゃないかって疑われない?」
「やだ、いつの時代の話よ」
「……黒田さん、英語できるの?」
「人並みにはね」

 

 人並みってどのくらいかなぁ。英語なんて中学生以下の僕は人レベル以下か。もっとも、僕は勉強も音楽も体育も美術もみんなみんな劣等生だから、英語だけじゃないけどね。

 

「そうだ、秋になったら、旦那に一週間ほど休みがあるのよ。旦那の田舎に帰省しようかって言ってたんだけど、旦那には子ども連れで行ってもらって、私は三日ほどひとり旅しようかな。白木さんと話しててその気になってきちゃった」
「そんなの、駄目に決まってるでしょ」
「どうして?」
「旦那さんが許すはずないじゃない。非常識よ」

 

 せせら笑うような口調の白木さんに、黒田さんは言い返した。

 

「子どもももう赤ちゃんじゃないんだから、そろそろひとり旅をしてもいいよ、きみの最高の趣味なんだもんな、俺は三日くらいだったら子守りできるよ、って、彼は言ってたわ。一週間ってのは気の毒だけど、三日間だったらむこうの実家に行ってれば楽なんだし、現実的に考えられそう」
「あのね、黒田さん」

 

 視線では胡弓を追いかけ、僕は聴覚を女性たちの会話に向けていた。

 

「そんなのよけいに無理でしょ。旦那の親が許すはずないじゃない」
「大丈夫。話せるひとなんだから。その話も前に旦那の母としたのよ。子どもはもう私が預かれるようになったんだから、あなたはひとりで遊びにいっていいわよって言ってくれたの」
「美容院とか買い物くらいでしょ」
「私がひとり旅を好きなのは、旦那の母もよく知ってるわ。彼女も今でも、義父をほったらかしにしてひとり旅をするらしいんだもの」
「……主婦失格ね」

 

 ちらっと見ると、白木さんの眦はきりきり吊り上がっていき、黒田さんは面白そうな顔をしていた。

 

「相談してみようっと。旦那も義母もきっと賛成してくれるわ。どこに行こうかな」
「……私はひとり旅なんかしたくもない。怖いわ」
「したくない人はしなくてもいいんじゃない?」
「そんなの、旦那さんやお姑さんが許すはずがない。無理にやったりしたら離婚されるよ」
「そうなの?」
「そうよそうよ。主婦が子どもをほったらかしてひとり旅……絶対に、ぜーったいに許されないわっ!!」

 

 なんでそんなにムキになる? 僕としては不思議な気持ちで、白木さんを見つめてしまった。

 

「……ひとり旅なんて、子どもを預けてひとり旅なんて、なにかあったらどうするのよ。一生後悔するんだよ」
「そんなことを言ってたら、幼稚園にもやれないんじゃない?」
「それとこれとは別よ。私は絶対にしたくない。ひとり旅なんてしたくない。旦那はどこへも連れていってくれないけど……」

 

 ぶつぶつぶつぶつ、白木さんの声が聞き取りづらくなってきた。

 

「したくないよ。したいわけないし……主婦がひとり旅なんて、自分で勝手に都合よく、旦那や姑が許してくれるなんて決めてるけど、許してもらえるわけもないんだ。そんなこと、主婦がそんなこと……いいなぁ。うらやましいなぁ……え? ちがうったら!! 私は誰かにしろって言われてもしないわよ。するわけないじゃない。黒田さん、そんなこと、言わないほうがいいよ。やめておきなさい」
「白木さん、どうしてそう必死になってるの?」

 

 僕が訊きたかったことを黒田さんが質問してくれ、白木さんはぶつぶつ口調のままで言った。

 

「許してもらえるはずないからよ。あなたが非常識な主婦だって言われて、離婚されたりしたらかわいそうだからよ」
「大丈夫だってば。そんなことで旦那も義母も怒らないから」
「……旦那さんやお義母さんが許したとしても……」

 

 目に焔をたぎらせて、白木さんは黒田さんを睨み据えた。

 

「私が許さない」
「は?」

 

 思わず、僕も黒田さんと一緒に、は? と声を出していた。

 

「パパぁ、おなかすいた」
「あ、そうだね。買い物にいこうか」

 

 うまい具合に胡弓が寄ってきたので、息子の手を引いてその場から逃げ出す。白木さん、怖かった。なんなんだろ、あれは。僕には白木さんの剣幕が理解できなかったので、その夜は珍しく早く帰ってきて家族で食卓を囲んだアンヌに話した。

 

「なんで白木さんはあんなに怒ってたんだろ?」
「結局、自分もひとりで自由にしたいんじゃないのかな。ひとり旅は怖いからしたくないにしても、私は夫や義母に押さえつけられて自由なんかほとんどない。あんただけ恵まれてるなんて許せない。その心理が、主婦失格って台詞になるんじゃないのか」
「ふーん」
「あたしの推測だけどさ」

 

 夫や姑が許したとしても私が許さない、その心理って……アンヌが言った。

 

「正義の味方ってとこかな」
「あ、なるほど」

 

 はた迷惑な正義の味方もいたもんであるが、黒田さんはむしろ面白がっていたようだから、まあ、いいかもしれない。

 

つづく

 

 

 

 

 

 

がんばれつば九郎(致し方なく)

ぜーったいに優勝してほしくないチームは、ゴキさんとカープさんです。
ひとつは大嫌いだから。
理屈じゃなくて大嫌い。

 

もうひとつは、毎年カープばっかり優勝ではつまらないからです。

 

他の三つだったらどこでもいいけど、ドアラのいるチームも好きじゃない。
積年の恨みのせいです。

 

だから、ツバクローかベイさんに優勝してほしい。

 

え?
あともうひとつあるでしょ? って。
ありますね、もうひとつ。

 

けれど、そんなおこがましい。
去年の最下位チームが監督が変わったからって、優勝なんかできるわけないので、あそこは論外とします。

 

ということで、遅ればせながらの2019セ・リーグ順位予想。
願望含む。

 

1 つばくろ
2 ベイ
3 トラトラ
4 ドアラ
5 鯉
6 ゴキ

 

こうだったらいいのにな。
ほんとにね、こうだったらいいのにな。

 

ところで、どうして今年はこんなに順位予想が遅くなったのといえば、
最初のほうの阪神タイガースのていたらくが影響しています。

 

今年は本気でヤクルトファンになろうと思ったくらい。
ヤクルトもノムさんが監督だった時代には散々苛められたので、決して好きではないのですが。
むしろベイさんのほうが、阪神に負けてゴキに勝ってくれたりするから好きだったのですが。

 

でも、今年はヤクルトの応援をします。

 

トラくんたち。
最近の調子は悪くないけど、ゴキさんとの試合がないからじゃないのぉ?
ゴキさんに勝たない限り、論外としか言えないのですよ。

 

とか、文句を言いながらも、
願望では三位くらいにはなってほしい、
度し難い阪神ファンなのでした。

 

 

 

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