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2019年3月

フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2019/3

FS俳句短歌超ショートストーリィ

2019/2

 菜の花列車に乗って適当な駅で降りて、猫に導かれて歩いていた不思議な経験。房総半島の内陸部には、黄色い菜の花がたくさんたくさん咲いていた。

 どこかで見たことあるなぁ、誰だっけ?
 猫に導かれていった民家の女の子は、幸生をそんな目で見ていた。猫は相手を、自分の知り合いか否かでだけ判断するのだろうが、人間の場合、こっちが知らなくてもむこうは知っているってことも間々ある。

 フォレストシンガーズの三沢幸生です、なんて名乗らずに、幸生は歌を歌った。

「菜の花畑に入日薄れ
 見渡す山の端 匂い淡し」

 歌、うまいね、今度は女の子はそんな目で幸生を見た。
 そりゃそうですよ、俺はプロの歌手だもの。そうとも言わずに女の子と猫とバイバイしてきて、ひとりで歩く帰り道。月がぽっかり、菜の花畑のむこうに顔を出した。

「歌手ってのはソングのほうであって、短歌のほうじゃないんだけどね……こういうときに一句か一首、すらすらっと詠めたらかっこいいんだけどな」

 ひとりごちて頭をひねる。頭をひねって句か歌かをひねってみたくて。
 ……お!!

「菜の花や月は東に日は西に」

 おおお、うまいっ!! 俺、天才!! 最高の俳句が詠めたじゃん。

「幸生、そいつは盗作だ。いや、盗作ではない、そのまんまだ」
「へ? そう?」
「与謝野蕪村だよ」
「与謝野晶子さんじゃなくて? 蕪村って男でしょ。女のひとのほうがいいのにな」
「ごまかすな。それはナシ」

 そっかぁ、頭の中に聞こえてきた声は乾さんのものなんだから、この話題に関しては乾さんの言うことにまちがいはないんだから、ナシだな、ナシナシ。

 では、もう一度……と苦吟してみたが、いくらひねってみても、月は東で太陽は西だ。あげくのはてには、西から上ったお陽さまが東へ沈む、なんて、どこかで聞いた歌詞になってしまうのだった。

END

 

 

 

 

 

 

 

ガラスの靴44「類友」

「ガラスの靴」

     44・類友


 一度は息子に、働く母を見せてやりたかった。
 事前に了解を得るべきだったのだろうが、断られそうな予感ひしひし。突然行ったほうが息子可愛さに受け入れてもらえるかと思ったのだが、甘かった。

「主夫の分際であたしの仕事場にのこのこ来るな。帰れ」
「ママ、こわい」
「胡弓もうるせえんだよ。帰れ。弁当? そんなもん、いるか」

 口実にするつもりで作ってきた弁当の大きな包みも、ばしっと払いのけられた。アンヌったらご機嫌ナナメかな。三日ほどはアンヌは帰宅していなかったから、主夫としてはみんなで食べられるようにたくさんのお弁当を届け、なんだったら洗濯ものを持って帰ろうか、と言おうとしていたのに。

「しようがないね。パパが悪かったんだよ。胡弓、パパとふたりでお弁当を食べようか」
「うん」

 アンヌのバンド、「桃源郷」がレコーディングしているスタジオは、有名な公園の近くにある。気候もいいしお天気もいいし、拒絶されたとしてもこうできるからこそ、その可能性も鑑みていたわけだ。

「よくあんな女で我慢してるよな」
「あ……吉丸さん」

 ママに邪険にされたので寂しそうな胡弓をなだめながら、公園のベンチで豪華なお弁当を食べていた。胡弓が食べものになんかたいした興味はないのは、僕の子どものころと同じだ。そのほうが太らなくていいとアンヌも言うので、胡弓には野菜をメインに与えていた。

 なのだから、このお弁当だって胡弓のご機嫌取りにはなりにくい。アンヌの仲間の大人の男性たちの好みを考えて、肉っケやらから揚げやらをたくさん詰めてきたので、胡弓と僕ではとうてい食べ切れそうになかった。

「吉丸さんも食べない?」
「そだな。たくさんあるもんな。食ってやるよ」

 大きな手で胡弓の髪をくしゃっとやってから、別の片手でおにぎりをつかんで吉丸さんがほおばる。食ってやるよとはなんなんだ、とは思ったが、食べものを無駄にしたくないのでそれはそれでいい。うん、うまいよ、と吉丸さんが言ってくれるのも嬉しかった。

「あんな暴君に我慢してるのも、おまえに稼ぎがないからだろ」
「僕は主夫だもん。家事をやってるもん」
「おまえは男だろうが」
「男と結婚してるあんたに言われたくないね」
「ミチは男じゃねえんだよ」
「だったら僕も男じゃなくてもいいよ」
「おまえは口は減らないな」

 憎たらしい口ばかりきく吉丸さんだが、彼にも息子がいるので、胡弓には優しくしてくれる。心配そうに僕らを交互に見ている胡弓には、吉丸さんはこう言った。

「パパを苛めてるわけじゃないぜ。話し合いをしてるんだ」
「はなしあい? おばあちゃんとおじいちゃんもしてるよ」
「そうだろ。大人の世界は話し合いでなりたってるんだよ」
「ふーん」

 そこにもうひとり、大人の男性が近づいてきた。
 吉丸さんもロックバンドのメンバーではあるが、「桃源郷」はそれほど有名ではない。ヴォーカルのアンヌでもひとりで歩いていれば目立ちはしないのだが、ドラマーの吉丸さんはさらに目立たない。なのだから、都会のど真ん中の公園で白昼堂々おにぎりを食べていても、誰も注目はしていない。

 近づいてきた男性もミュージシャンっぽい風体で、吉丸さんと較べればだいぶ小柄で細くて僕に近い体型だ。ただし、若くはなかった。

「よぉ、吉丸、また浮気?」
「てめえに言われたくねえんだよ。こいつはアンヌのヨメだ」
「ああ、笙って奴ね」

 たいていのひとは、アンヌのご主人と呼んでくれるのだが、吉丸さんは僕をアンヌのヨメだと言う。吉丸さんの事実上の妻、ミチのこともヨメだという。男だから夫、主人なのか、主夫なのだからヨメなのか、ま、どっちでもいいか。

 おまえも食う? お、食う食う、と吉丸さんと彼は言い合い、僕には断りもしないで彼はおにぎりを持ち上げた。誰だ、こいつは? と視線で尋ねたとき、今度は女性が近づいてきた。

「藤見ったらなにやってんの? 食事に行くんじゃなかったの?」
「ああ、このくらい食っても平気だよ。比呂乃も食う?」
「誰が作ったの? 買ってきたの?」
「いいや、こいつが作ったんだ」

 と、フジミがヒロノに言って僕を顎で示す。フジミ、ヒロノ、姓だか名だかわかりにくいが、男性がフジミ、こっちは姓。女性がヒロノ、これは名前なのではないだろうか。

「どこの誰だかわからないような、知らないひとの握ったおにぎりなんか気持ち悪いよ。そんなもの、よく食べられるね」
「また出た」
「そんなものを食べてないで、食事に行こうよ」
「うん、でも、これ、うまいんだよな。笙って料理うまいじゃん」

 名前はわかったが、どういうひとなのかが不明だ。吉丸さんも紹介すらしてくれないので、僕はフジミさんに、どうも、と軽く頭を下げるだけにした。

「買ってきた弁当だったら食べられるけど、素人の作った料理なんか不衛生だし……気持ち悪いってば。フジミ、そんなの食べるのやめなってば」
「もうちょっと……」
「意地汚いな」

 なんだかものすごーく失礼なことを言われてる? アンヌが連れてくるお客さんの中にも、僕が出した料理を食べてくれないひとがいる。気持ち悪いんだって、とアンヌが言っていたこともあって、僕は気にしていなかったが、こういう意味だったのか。

 そこにまたまた、歩み寄ってきた女性がいた。彼女はきっとした表情をしていて、そちらを見たヒロノさんの表情は険しくなった。お、まずい、と呟いた吉丸さんの顔はなぜだか嬉しそうで、フジミさんはきょろきょろしていた。

「どうしてこんなところで、フジミはお弁当を食べてるの? ヒロノさんが作ってくれたの?」
「どうして史子がここに……」

 二番目にあらわれた女性はフミコというらしい。フミコさんのほうが若くて美人で、ヒロノさんのほうはおばさんっぽかった。
 この三人、どんな関係だ? 胡弓も僕もぽかんと三人に見とれていて、吉丸さんはにやついていた。

「密告があったのよ」
「密告って誰が?」
「誰だっていいでしょ。まったくもう、フジミには愛想がつきたってのよ。勝手にすれば」
「待てよ、フミコ」
「……勝手にして」

 フミコさんが歩み去っていく。フジミさんは片手におにぎりを持ったままで彼女を追っていく。ふんっ、と鼻を鳴らしたヒロノさんは、ふたりの男女のうしろ姿を見送ってから、彼女もまた去っていった。

「こんな話、胡弓は聞かないほうがいいんだけど、こいつもミュージシャンの息子だしな。まともな親じゃないんだから、そういうことにも慣れておいたほうがいいか」
「そんなにいやな話?」
「いやな話ってか、よくある話だよ」

 三人の男女がいなくなってしまってから、吉丸さんが話してくれた。
 フジミさんは吉丸さんの昔からの友人で、僕の予想通りにミュージシャンなのだそうだ。彼は小柄だが、小さくて可愛いとかいわれて若いころからもてた。若くはなくなった今もなぜかもてるのだそうだ。

 二十代のころにフジミさんは結婚した。その相手がヒロノさんなのだそうで、フジミさんが浮気ぱっかりするので離婚した。たしかに、ミュージシャンならずともよくある話だ。

「そういう男は結婚しなかったらいいのに、フジミは次から次へと女を作っては、結婚したがるんだ。飽きっぽいからまた浮気しては離婚する。結婚離婚を何度繰り返したかな。七回ほどになるんじゃないかな。八回かもな」
「彼、いくつ?」
「俺と同じくらいだよ」

 三十代半ばで七、八回の結婚とは、六十代で五回とかいうおじいさんもいるが、フジミさんは若い分、
ほんとにすごい。

「ヒロノとは五回目だったか六回目だったかに、もう一度再婚したんだよ。今度こそ落ち着くとか言ってたけど、あれのせいで離婚したんだそうだ」
「あれって?」
「プロ以外の見知らぬ人間の作った料理は食えないってやつ」
「そういうひと、時々いるんだね」
「そうらしいな。俺はそんなこと言ってたら、なんにも食えないけどな。それはいいとして……」

 そしてまた、フジミさんは幾度か結婚して離婚し、現在はフミコさんが彼の奥さんなのだそうだ。ところが。

「まーた浮気してるんだよな、フジミは。その相手がヒロノなんだよ」
「いちばん最初の奥さんだよね」
「二回結婚して二回別れた相手だよ」

 現在の妻、フミコさんとは不倫の果てに前の奥さんと離婚した。そしてまたフジミさんは不倫している。その相手がもと妻、ヒロノ。なんてややこしい人生なんだ。

「そんなにヒロノがいいんだったら、結局は戻るんだったら、離婚しないでそのまんまで、別の女と不倫すりゃいいんだよな。あいつが言うには、俺は誠実なんだから、別の女に気持ちが移れば結婚は続けていられないって……」
「せ、い、じ、つ……」
「どの口が言ってんだよ」

 どの口って、その口でしょ? 僕は吉丸さんの口を見つめた。三歳の胡弓にはいましがたの一幕も、吉丸さんの言葉もわかってはいない。ごはんを食べるのもいやになったらしく、ベンチに立って近くの花をいじっている。僕は胡弓の腰を支えて吉丸さんを見ていた。

「俺は結婚歴は一回だけだぜ」
「相手が相手だからだよね」

 女性と結婚して男と不倫して、離婚して事実婚を選んだ吉丸さんだが、不倫相手が女性だったとしたら結婚歴は二回になったかもしれない。さらにそのあと、他の女性と浮気して彼女が吉丸さんの子どもを産んだ。そこで三回になっていてもおかしくはない。

「……これからもやるでしょ」
「絶対にやらないとは俺は言わないな。そういう男のほうが誠実なんだよ。正直なんだもんな」
「……せ、い、じ、つ」

 こんな男たちに較べれば、僕は最高に誠実だと確信できる。そんな夫を邪険にし、息子にまでつめたくした妻に報復するために浮気してやる、とも僕は考えない。
 眠くなったらしく、僕にもたれかかってきた胡弓を抱き留め、僕は息子の将来を想像する。きみはどんな男に成長するの、胡弓? フジミさんや吉丸さんみたいになるよりは、主夫のほうがはるかにいいんじゃないだろうか。

つづく


 

196「とんだ顛末」

しりとり小説

196「とんだ顛末」

 経済的に余裕のない若者が増えているからか、昨今は結婚式をしないカップルも多い。したとしても地味婚。六十代の浪子が結婚したころには、結婚式は女にとっての憧れだったのに、近頃の若い女は合理的だから、そんなの無駄だよ、と切り捨てる場合もある。

 息子は妻となった女性の希望で海外挙式。むこうの親は行かないんだから、母さんたちも来なくていいよ、と息子はそっけなかった。
 
 娘はフォトウェディングと食事会のみ。結婚式なんかにお金を使うくらいだったら、新婚旅行をゴージャスにしたいのよ、と娘は言った。ふたりの子どもがともに結婚しているのは昨今では幸運だと聞くが、ふたりともにちゃんとした式を挙げてくれなかったのが、母としては心残りだ。

 世間一般がそういう風潮になっているので諦めるしかなかったのだが、昔ながらに新郎の上司夫婦に仲人を頼み、正式に結婚式を挙げるという夫の部下には、浪子は好感を抱いた。

 夫は会社重役であるので、特に定年の決まりはない。七十歳近い現在もしっかり働いているので、部下もいる。このたび結婚式を挙げるのは、重役秘書室勤務の男性社員とその婚約者。三十歳の男性社員については、四谷という名前を浪子も時おり夫の口から聞いていた。

「婚約者の方はなんてお名前? 一度、四人で食事でもするべきよね」
「我が家にお招きするのか?」
「それでもいいけど、若い方にはレストランのほうが気楽でいいかもしれないわね」

 夫婦で仲人をするのだから、浪子だって新郎新婦に会っておきたい。仲人をするのははじめてであり、夫もけっこう晴れがましいのは好きなので、張り切っているようだった。

「彼女は半田小春さんといって、僕もまだ会ったことはないんだけど、四谷くんとはお父さん同士が親友なんだそうで、幼なじみでもあるそうなんだよ。彼女はピアノの先生なんだそうだ」
「ピアノの先生の半田小春さん?」

 「はんだ・こはる」、ありふれた名前ではないだろう。ピアノの先生なるとよけいに、浪子が噂に聞いた女性と合致する。夫に話す前に噂の真相を確認しておこうと、翌日、浪子はコーラスサークル仲間の木戸に電話をかけた。

「半田小春さんって、前に木戸さんたちから聞いた女性よね?」
「ああ、半田さんね。浪子さんがサークルに入る前に、ピアノで伴奏してくれていたひとよ」
「お仕事もピアノの先生だった?」
「そうそう」
「若い女性だったわよね」
「そうね。二十代だったわ。サークルはけっこういい年のおばさんばっかりだから、半田先生はずいぶん目立っていたわね。綺麗なひとだったし」

 若いころには夫には転勤もあったので、日本各地で賃貸のマンションで暮らしていた。海外生活の経験もある。夫が六十歳になると転勤はなくなったので、ひとまず建売住宅を買った。当時はまだ娘も息子も独身だったので、広い屋敷だった。

 子どもたちが相次いで結婚し、夫婦ふたりだけになると、以前の屋敷では広過ぎる。掃除も維持も大変だと浪子がこぼしたので、ふたり暮らしに最適な家を建てようとの話になった。
 二年ほど前にその家が完成し、夫とふたりして引っ越してきた。

 建売住宅を買ったころから、浪子は会員制のスポーツジムに通うようになっていた。そこで知り合った同年輩の女性たちと、次第にプライベートな話もするようになる。高級なほうのジムだったので、会員女性たちの暮らし向きもおよそ似通っていた。

 歌が好き、カラオケも好き、と話したから、だったら私たちの女声合唱サークルに入らない? と誘われて浪子も参加した。そのサークルもスポーツジムも引っ越したために遠くなって退会し、こちらに来て改めて別のスポーツジムに入会し、女声合唱サークルも見つけたので仲間に入れてもらった。

 今回のサークルもわりあいに裕福な家庭の主婦がメインだ。暇で優雅な年配の主婦たちの噂話で、浪子はすこし前までいた男性指揮者と、女性ピアニストについて聞いたのだった。

「なーんか怪しいと思ってたら、案の定だったのよね」
「指揮者っていうのはリタイアしてたけど、大きな会社の重役だった男性で、趣味でオーケストラの指揮もしていたらしいのね。ピアノも弾くって言ってたわ」
「七十すぎてたけど、お金も持ってるし、なかなかかっこいい男性だったわよね」
「それにしても、二十代の女性があんなおじいさんと……」
「お金とかっこよさがあるんだもの。ちゃっかりした女の子だったら、遊び相手にだったらいいって思ったんじゃない? 私はあのふたり、怪しいって思ってたもの」
「私は半田さんも市川さんも……あら、市川さんの名前、出したらいけなかった? えーっと、そう、ふたりとも知らないんだけど、春日さんも言ってたわ、あのふたり、やっぱりそうだったのよって」

 つまり、ピアニストの半田小春は、サークルの指揮者だった男性と不倫関係にあったのである。
 そんな仲が明るみに出、ふたりともにサークルをやめた。浪子が入会したのはふたりがやめたあとなので、古参の会員からの又聞きではあったので、木戸に確認したのだった。

「やっぱりまちがいないのね」
「まちがいないけど、どうしたの? 半田さんがなにか?」
「いえ、ちょっと確かめたかっただけ」

 夫の部下と半田さんが婚約して……とまで木戸に話すほど、浪子は分別のない女ではない。そこは言葉を濁しておいて、帰宅した夫に報告した。

「なんだって……?」
「まちがいないみたいよ」
「それは……」

 みるみる夫の表情が曇っていった。

「四谷さん、知ってるのかしら」
「婚約者が不倫をしていたとか? 知るはずがないだろ。不倫をしていたような女と結婚しようなんて、まっとうな男だったら思わないよ」
「そうかしらね。今どきの若いひとはわからないから」
「いいや。男ってのは若くても年寄りでも同じだよ」

 まあそうだろう、と浪子も思った。

「だったら、あなたから話す? そういうことって教えてあげるべきなのかしら」
「……僕だったら絶対に、不倫経験のある女はいやだ。知らないんだったら教えてほしいな」
「私も教えてほしいわ」
「で、それは絶対にたしかなんだね」
「ええ、もちろん」

 自分たちの縁談なんてものはもはや起き得ないが、たとえば息子の妻が過去に不倫していたと聞いたら? 今さらであっても、浪子だったら息子に離婚を勧めたい。結婚してから知るよりは、破談にすることもできる段階の今、知ったほうがいいはずだ。浪子と夫はそう結論づけた。

「四谷くんに話したよ。もちろん知らなかったみたいで、考え直しますって言ってた」
「そりゃあそうよね」
「教えて下さってありがとうございます、奥さまによろしくお伝え下さい、だそうだ」
「四谷さんはお行儀いいわよね。そんな男性があたら、不潔な女につかまってしまわなくてよかったわ」

 むずかしい顔をして、夫はうなずいた。

 挙式は延期……ふたりで話し合っている……双方の両親もまじえて話したそうだ……式は無期延期……夫からカップルの情報がもたらされる。最終的にはふたりの結婚はなくなったと聞いた。

「仕方ないわね」
「僕は話し合いの細かい部分までは聞いてないけど、四谷くんはげっそりしていたよ。女性不信に陥ったんじゃないかな」
「しばらくは心の傷が残りそうね。気の毒に」

 とはいえ、浪子にとっては所詮他人事だ。合唱サークルでその話をすると、ぽろっと半田小春について言ってしまいそうだから、当分はサークルに顔を出すのもやめておくことにした。

 三ヶ月ばかり経過したある日、今夜は外で食事をする、と言って出かけた夫が、ひとりの男性を伴って帰宅した。食事は彼とする予定だったのだそうだが、急遽、我が家で話すことにしたのだと夫は言った。

「市川と申します。以前、奥さまの合唱サークルで指揮をさせてもらっていました」
「……あ!!」

 噂の主役ではないか。どうしてその市川さんが? 一瞬パニックを起こしそうになった浪子は、私が悪いわけじゃなし、と考え直して慌てて挨拶をした。

「お茶だけでいいから、母さんもちゃんと聞きなさい」
「え、ええ、でも、なんの話なんでしょう」
「いいから」

 怖い顔をしている夫に命じられたので、浪子はお茶を三つ、応接間に運んでいった。

「ありがとうございます……いやぁ、デマとは恐ろしいものですな」
「デマ?」

 五年ばかり前、市川は現在、浪子が所属している合唱サークルに指揮者として招かれた。木戸たちは彼を七十歳すぎていると言っていたが、浪子の夫と同年代だろうから、当時は六十すぎだったはずだ。

 同じころ、音楽大学を卒業したばかりの半田小春も、サークルにピアニストとして招かれた。彼女は市川の大学の後輩であり、ふたりともにピアニストになりたくて、しかし、ピアノだけで名を上げるほどのプロになれる才能はなく、ピアノ教師になったり、趣味として楽しむだけになったりという部分が共通していた。

「ですから、孫と祖父みたいに仲良くはなりましたよ。ふたりで食事に行ったり、私の妻はクラシックには興味がないから、海外から来日したオーケストラのコンサートに半田さんとふたりで行ったりもしました」

 それから三年ほどして、市川の妻が病に倒れて入院した。半田は子ども向けの音楽教室に講師として就職し、多忙になったので、ほぼ同時期にサークルはやめた。

「そのせいみたいですね。あらぬ噂を立てられていたとは、浪子さんのご主人が半田さんの婚約者にそんな話をなさったと聞いて、私もはじめて知ったんです。びっくりしましたよ」
「あらぬ噂なんですか?」
「そうですよ。事実無根です」
「でも、火のないところに煙は立たぬと申しますが……」

 反論をこころみようとした浪子に、夫が言った。

「先日、市川さんから会社に電話をもらったんだよ。四谷くんと半田さんの一件について話をしたいと言われて、今夜、お話を伺うことにした。ふたりで話して冷静に分析してみたんだ」
「私は半田さんと親しくしていましたよ。まったく関わりもなかったとは言わないが、大学の先輩と後輩として、趣味を同じくする者としての節度のある友達づきあいです。妻にも半田さんを紹介したこともあります」
「しかし、サークルのおばさんたちは邪推していたんだね」

 ほぼ同時期に市川と半田が退会した際に、ほら、やっぱり、あのふたり、不倫してたんじゃない? と憶測でものを言う者があらわれた。噂話が伝播していき、不確実だった情報が本当のこととして広まっていく。市川も半田もいない今、否定する者もいないのだから、前にこんなことがあってね、との面白おかしい伝聞になっていったのだろう。

「誰ひとりとして証拠を持ってるひとなどいないはずですよ」
「母さんも噂話として聞いただけなんだろ。絶対にまちがいないって言ったきみを信じた、僕が愚かだったよ」
「本当に怖いですなぁ」

 そんなはずは……だって、みんなが言ってましたよ…子どものような反論しかできないことに気づいたので、浪子はうつむいた。

「半田さんの婚約者サイドが、調べにきたんです。私に直接質問されたわけではないが、それで私も知ったんですよ。確たる証拠はもちろんつかめない。けれど、ふたりきりで食事をしているのを見たとか、その程度だったら記憶している人もいる。グレイですな、と婚約者に報告が行ったそうです」
「四谷くんのほうでは、なにもなかったらそんな噂が立つわけがない、と強硬でね」
「半田さんも、そんなふうに疑われるんだったら……と言って身を引いたそうですね。迷ったんですけど、半田さんに電話をしてみましたよ」

 私は不倫なんかしていない、と言っても信じてもらえず、つまらないデマを信じるような方とは結婚しません、と半田は寂しげに笑っていたのだそうだ。

「もういいんですよ、と半田さんは言ってましたが……私としてはどうしていいのか」
「市川さんはなにも悪くないでしょう? 私のほうこそ……」
「いや、まあ、奥さまを責めるのも酷ですけどね」

 憐憫なのか同情なのか、市川はそんな目で浪子と夫を交互に見る。どうしていいのかわからないのは私のほうだ……ちらっと顔を上げて夫と半田を見、再び目を伏せた浪子の耳に、市川の声が届いていた。

「こうなったら私、もう一度プロのピアニスト目指して挑戦しようかしら。来年、オーストリアで開催されるコンクールに出ようかしら。市川さん、まだ手遅れじゃありませんよね? 半田さんはそんなふうに言っていました。今どきの女性は潔いですね。ですから、半田さんにとって悪いことばかりではないのかもしれません」
「いや、しかし……」

 冷や汗をかいているような夫の声も耳に届いてきて、浪子の首の角度は下がっていくばかりであった。

次は「つ」です。


 

 

ガラスの靴43「迷惑」

「ガラスの靴」

     43・迷惑

 告白しなよ、しなしな、しなってば、と女性たちが誰かを焚きつけている。告白といえば恋愛がらみだろうか。シュフの常として僕も他人の色恋沙汰には興味津々なので、部屋を覗いてみた。

 妻のアンヌはロックヴォーカリスト、超有名人ではないが、彼女のバンド「桃源郷」はまあまあ売れているので、専業主夫である夫の僕と、三歳のひとり息子、胡弓もいい暮らしをさせてもらっている。住んでいるマンションも広くて部屋数もたくさんある。

 広い家に住んでいるのもあり、アンヌの交友関係が広いのもあり、僕がパーティ好きなのもあって、時々ホームパーティをやる。そんなときには胡弓はたいていは、僕の母に預かってもらっていた。

 今夜も胡弓はおばあちゃんちにお泊りだ。彼はおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、お泊りもいやがらない。おじいちゃんとおばあちゃんも孫が大好きで、今や胡弓が生き甲斐になっている。僕としても大人の時間が持てるわけなのだから、一石三鳥なのである。

 半分ほどは音楽関係者のパーティに、そうではない人種も加わっている。アンヌと彼女の友達、詳しく説明すればただの友達と呼ぶには複雑なのだが、簡単に言ってしまえば「アンヌの友達」の知可子さんや真澄さんやほのかさんが囲んで焚きつけているのは、やや太目の女性だった。

 彼女は勝子さんとかいう、テレビ局のADだったはず。最近はテレビCMの音楽制作仕事もよく入ってくるようになって、桃源郷もテレビと関わりができている。誰とでもすぐに親しくなるアンヌにも、テレビ関係者の友人が増えてきていた。

 仕事帰りにやってきた勝子さんは、カジュアルな服装でほぼすっぴん。特に美人ではないけれど若々しくて初々しくて、流行の最先端を走りたがる音楽業界人たちの中にいると学生みたいに見えた。

「ええー、私なんかじゃ……」
「私なんかって卑屈になったらいけないのよ」
「そうよ。勝子ちゃんは若いんだもの。女は若いってだけでも値打があるんだよ」
「そしたらあたしには値打はないのか」
「知可子さんのことは言ってないでしょ」

 わいわい喋っている女性たちの輪から、勝子さんが抜け出した。
 誰に告白するんだろ。勝子さんを焚きつけていた女性たちもわくわくしているようで、僕も気になってそーっと勝子さんについていってみた。

「こんばんは」
「あ? ああ、勝子さん、来てたの」
「来てました。あの、お話ししてもいいですか」
「いいけどね」

 相手はスーツにネクタイのサラリーマンのベーシックファッションを、微妙に着崩した男だ。テレビ局関係サラリーマンだろうか。勝子さんは二十歳そこそこで、彼は三十そこそこに見えた。

「あのね、前から言いたくて……」
「なに?」
「言ってもいいですか」
「……なにが言いたいのかな。まさかとは思うけど、山本さんが好きってのはないよね。まさかね。きみはそれほど身の程知らずじゃないよね」
「……そ、そうですか。そうですよね」

 この男は山本さんというらしい。僕が注目しているせいもあって、ふたりだけが周囲から浮き上がっているようだ。

「まさかね。僕がきみとたまには食事をしたり、仕事帰りにばったり会ったらお茶を飲んだりしたのは……なんていうのかな。ボランティア精神みたいなものだって、はっきり言っておいたほうがいいのかな。そんなつもりじゃないよね。まさかだよね」
「……いえ……」
「そのつもりだったわけ? やめてくれよな。きみの目、不愉快だよ。ものすごく腹が立ってきた」

 どんな目で彼を見つめたのか、僕の立ち位置からは勝子さんの表情は見えないが、冷めた口調で言い捨てられて席を立たれた勝子さんは、きっとがっくりうなだれたのだろう。
 あちこちでアンヌや真澄さん、知可子さんやほのかさんもあのシーンを見ていたはずだ。僕は勝子さんにはかける言葉も見つからなくて、山本くんが立っていったほうへと行ってみた。

「女に告白されて、なんだよ、あの反応は」
「……女ったって、あの女じゃ迷惑なんだよ」
「なにさまだよ、てめえは」
「僕には彼女はいるんだよ」
「いたっていいじゃないか。勝子はおまえを好きだって言ってる。結婚したいとまでは考えてないんだろうから、一回だけ抱いてやったらいいじゃないか」

 おいおい、アンヌ、勝子さんの望みってそれ? 僕としては突っ込みたくなったのだが、立ち聞きしているのだから黙っていた。

「いやだよ、あんな女。僕が穢れる」
「そこまで言うか」
「言うよ。アンヌさんから見たってそう思わない? 僕は高級な男。あの女は低級な社会の底辺で蠢く女だろ。ルックスがどうこう言ってるわけじゃないんだ。K大院卒の僕がなにを好き好んで、大学中退、しかも名もない田舎の大学、って女とつきあわなくちゃならないんだよ。僕は学歴のない女は絶対にお断りなんだから」
「ああ、そっちね」

 大学中退ってのはアンヌと同じだが、高校を卒業して専門学校に入学した僕は、大学受験を突破したというだけでも尊敬してしまう。そっか、大学中退って学歴ないことになるのか。

「僕には彼女はいるんだけど、その彼女も院卒ではないんだ。だから深くつきあうのを躊躇してしまうんだよ」
「私は********大学卒業よ。私と結婚する?」

 ********の部分は外国語らしく、僕には聞き取れなかったが、ほのかさんが言い、山本くんは彼女を見つめた。

「あなたは? ああ、そうなのか。*********って……あなたの告白だったら考えてみてもいいな。僕はあなたが誰なのか知らないけど、僕と釣り合う感じだ。僕よりはすこし年上なんだろうけど、あなたのことだったらもっと知りたいよ」
「……私は独身主義だから」
「……いや、それでもいいよ」
「私、子どもが三人いるのよ」
「は?」

 うっすら笑って山本くんをじっと見返してから、ほのかさんはきびすを返した。

「今どきの男って、女を学歴で差別するんだ」
「アンヌ、知らなかったの? そんなの珍しくもないよ」
「だったら山本は、とびきりぶすの五十のおばさんでも、東大医学部卒だったりしたらそっちを選ぶのかな」
「どうなの、山本くん?」

 知可子さんに問いかけられた山本くんは、口の中でもごもご呟いた。

「あたしは○○短大卒だから、駄目よね」
「あたしも大学中退だし」
「真澄はどこだっけ?」
「あたし、八街国際大学」
「そんな大学ってあるの?」
「洋裁学校だよ」

 洋裁学校が国際大学とはシャレがきつい、などと笑いながら、アンヌと真澄、知可子の三名も去っていった。山本くんは口をとがらせて、やや離れた場所で見ていた僕に目を止めた。

「ほのかさんって女性の大学はほんと?」
「そうみたいだね」
「……僕はそしたら、ほのかさんだったら……」
「あ、無理無理。あのひとは山本さんのテコになんか合わないよ。きみに告白されたら、ほのかさんが迷惑がるよ」
「それはどういう意味で……三人も子どもがいるなんて、嘘なんだろ」
「きみに説明するのってめんどくさいから、もういいよ」

 ほんのちょっとだけだったら、勝子さんの仕返しをしてやれただろうか。ほのかさんが自らやってくれたほうがいいのか。僕には女心はわからないし、普段は学歴なんてまったく気にしていないので、学歴差別が腹立たしいというのもわからないが。

 だけど、僕は主夫だ。シュフってのは通常は女だし、アンヌはいつだって女の味方だと言っているのだから、僕も一部を除く女性の味方だ。一部ってのはまあ、あんな女とかこんな女とか、ね。

つづく


 

読書ノート29

①読売新聞大阪本社編「阪神大震災」

もう二十三年にもなるのですね。
東北の大震災からだって、七年も経つ。

災害は忘れたころにやってくる。
その意味でも、語り継ぎ、書き継ぎ、読み継いでいくのはとてもとても大切ですね。

大阪に住んでいる私にはやはり、阪神大震災がもっとも身近ですので、こういう写真集を見ても思い出して戦慄してしまいます。当時阪神間に住んでいた有名人の談話なども。


②坪井栄「母のない子と子のない母と」

昔々に読んだ本のうちで、もう一度読みたいと思うものは取ってあります。
あまりに古くて変色していて、おまけに老眼の身には読めない小さな字のものなどもあって、そういうのは捨てましたが。昔の文庫本は字が小さすぎる。

一度だけ訪ねた小豆島の段々畑。
戦争で父を亡くし、その後に母も亡くした埼玉県出身の少年と、彼の遠縁に当たる小さなころに息子を亡くしたおばさんと……おばさんって言っても三十代かせいぜい四十代なんだろうな。

終戦直後の物語、フィクションであっても、この時代の庶民についてだってずーっと語り継いでいくべきですよね。


③釧路市動物園「タイガとココア」

猫科の生き物は大好きな私は、この本も夢中で読みました。

母ちゃん虎に育児放棄され、人間の手で育てられたアムールトラのタイガとココア。
二匹はうしろ足に障害があったそうですから、この子は育てられないと、母虎は思ったのかもしれませんね。自然界は非情だもの。

赤ちゃん猫科はなんだって大好きですが、特に虎の仔を見ていると涙が出ます。私の前世は魚かカラスかと思っていたけれど、虎のおかあちゃんだったのかもしれません。

タイガは肉をのどに詰まらせて死んでしまったそうですが、ココアは元気にしているみたいです。
いつか会いにいきたいな。


④明野照葉「ひとごろし」

一時この方の小説にはまっていました。「契約」だったかな。復讐譚イヤミスを読んで衝撃を受けて、ネットでレビューを探しました。

その後も明野さんの小説はたくさん読んだのですが、面白いのもつまらないのもあり。
そんな中、これは久々のヒットでした。

澱んだりひしゃげたり顔をしかめたり、ものすごくうっとうしいオーラが充満している文体にぴったりの、うっとうしくてめんどくさい女たち。こんな女たちを描かせたら天下一品ですね。


⑤秋吉理香子「暗黒女子」

映画化されてるようですが、映像では見たくないかも。

六人の女子高生、才色兼備のお嬢さまたちが書いた、六篇の小説。
殺されたサークル仲間の犯人は誰? 動機は? お嬢さまたちがそれぞれに推理して小説にしたのです。

この六つの短編がそれらしくて、別人が書いた設定の小説を六つも作れるだけでもすごい。どんでん返しに次ぐどんでん返しもすごい。才能ありますね。


⑥カズオ・イシグロ「遠い山なみの光」

ノーベル賞を受賞されたときに、私は読んだことがなかったので図書館に予約してみました。予約がいっぱいで気長に待とうとしていたら、友達が貸してくれました。

デビュー作なのだそうで、最初の舞台は日本。終戦直後の時代の妊娠中若い主婦。
なんで肝心なこと(読者はそう思うのですが、著者はそんなことを肝心だとはみなしていないのか)をまったく書かずに、この主人公が単なる近所の女性に過ぎない女にひっかき回されていることばかり書くのか。

なんだか苛々するわ、ってのが、著者の術中にはまったってこと?


⑦群ようこ「しっぽちゃん」

ペットたちと人間との物語。
チワワ、猫、セキセイインコ、ハムスター、ヤモリ、リクガメetc。
愛があふれています。

小鳥ってやはり頭がいいんですよね。研究が進んで、あんなにちっちゃい頭をしてるけど、鳥は種類によって知能が高いのだとわかってきているのだそうです。
鳥にも興味あるし、亀とも暮らしてみたいな。猫がいるから無理ですが。


⑧なりゆきわかこ「多摩川にすてられたミーコ」

人間の身勝手で、捨てられたり拾われたり、保護されたりよそへやられたり、また捨てられたり拾われたり、虐待されたり追い払われたり、の猫たち。

近頃は都会には野良犬はまずいませんが、野良猫は時々います。
大阪市では「野良猫にエサを与えるのならば、きちんと掃除をして下さい」という貼り紙に変わりつつあります。

ほんとは猫って、自由に外に出て遊んで、うちに帰ってごはんをもらって寝る。それがいちばんだと思うんですけど、都会ではそうもいきません。家にしかいられない猫は、長生きできても幸せなんだろか、と疑問に思わなくもないですが、そうしかできない現実。


⑨篠田節子「となりのセレブたち」

セレブたちのお食事会、キャリアウーマン志向の娘や、現世の欲望にうつつをぬかすマダムたち、マクロバイオテックのアーティストに憧れる主人公の娘。

しょっぱなに出てくるこの短編が印象的でした。
彼女の書く小説の全体に流れる、皮肉と意地悪の旋律がいいわぁ。

も~すぐは~るですね~。
あ、でも、私、冬のほうが好きです。

うん、でも、桜は楽しみ。
ちょっとだけ楽しいなにかを楽しみに、日々、生きていくものなのですね。



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