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フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2019/2

フォレストシンガーズ

超ショートストーリィ


 醜貌コンプレックスなんてものは、神代の昔からあったのだろう。平安時代には物語にもあらわれると教えてくれたのは、國友の先輩の乾隆也だった。

「末摘花って知ってるだろ」
「源氏物語ですよね」
「そうだよ」

 鼻の先が赤い。そのせいでついたあだ名のような名が「末摘花」。花と鼻をひっかけてあるらしい。

 古代女性の名前は、歴史に残っていない場合が多い。誰それの娘だとか、官位だけだとか、誰かの妻だとか姉だとか妹だとか、あるいは通り名だとか。家系図にすらも、「女」としか記されていなかったりする。

 そんな時代の女性、末摘花。彼女は物語の登場人物なのだが、國友としては感情移入してしまった。
 赤い花、紅花は國友の故郷である山形県の県花だから、もあったのかもしれない。

「くれなゐのひとはな衣うすくともひたすら朽たす名をし立てずば」末摘花

 稚拙な歌だって評判だけどね、と言いつつ、隆也の教えてくれた和歌が思い出される。

 背が低くて引っ込み思案で、無口だとか暗いだとか言われて、恋人どころか友達もほとんどできなかった僕。大学生になってようやく、度胸を振り絞って三つ年上の女性に告白し、恋人同士になれた。

 天にも昇る心地はあっけなく砕かれて、ほんの数ヶ月で捨てられてしまった。
 自分の顔のことはあまり考えてなかったけど、男としては背が低いってのは不細工以上のコンプレックスだよ。僕の背が低いからいやだって言うんだったら、最初から美江子さんは僕の告白を受け入れてくれなかっただろうけど。

 でもやっぱり、それだってあるのかな。
 つきあってみたら僕が小さすぎるのにうんざりして、告白を受け入れたことを後悔した。だから傷が浅いうちに僕を捨てた。それも美江子さんの優しさだと考えるしかないのか。

 ぐずぐずうだうだ、考えながら歩いていたら涙がこぼれてくる。
 二月の風が國友の頬に冷たく吹きつける。故郷に帰って紅花に頬を寄せて、癒してもらいたくなってきていた。


KUNI/19/END

 

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