ブログパーツリスト

counter

« ガラスの靴37「失恋」 | トップページ | ガラスの靴38「理由」 »

フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2019/1

FS俳句短歌超ショートストーリィ

2019/1

「なんだか……なんだろ、なんて言えばいいんだろ」
「ん?」

 ひょんなことから、元日早々乾さんとこうして肩を並べて歩いている。フォレストシンガーズの乾隆也は僕にとっては知らないひとではなく、昔馴染みの木村章の先輩というか仲間というか、なのだが、章だったらまだしも、乾さんとふたりで歩くってのは調子が狂うのだった。

「レイ、どうかしたか?」
「なんなんだろうね。僕らには盆も正月もなくて、そんなのを気にするほうがロッカーらしくないってか、こうやって言い訳してるのもロッカーらしくないってか」
「それでも、日本人だから?」
「なのかなぁ」

 日本人なんだから、盆や正月を気にするってわけか。そんなことはまったくない!! とは言い切れない。

 国籍不明みたいな愛称だけを名乗っているロックバンドのギタリストとして、僕はロッカーだよ、って顔をして生きている。年中行事? そんなの僕らには関係ないね、ってさ。

「で、レイはなにが言いたいんだ?」
「なにが言いたいのかよくわからないんだけど、元日だからこそなのかな。なんていうか、なんていうのかこの……」

 急に、乾さんは空を見上げた。

「元日の空青々と淋しけれ」原 石鼎(はら せきてい)

 なにそれ? 俳句? 
 いや、僕の言いたかったことはそんなんじゃなくて……口の中でもごもご呟きながら、僕も空を見上げる。ほんとだ、青々とした空だ。だから僕は寂しい? 

 そんなことが言いたかったんじゃないよ、ではなく、そっか、僕はそう言いたかったんだ、なんて気持ちになってしまう。なんだかとても不思議な気分。

END


« ガラスの靴37「失恋」 | トップページ | ガラスの靴38「理由」 »

フォレストシンガーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2019/1:

« ガラスの靴37「失恋」 | トップページ | ガラスの靴38「理由」 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ