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フォレストシンガーズ・短歌俳句超ショートストーリィ2018/11

フォレストシンガーズ

超ショートストーリィ

 まさしく、我々が海のものとも山のものともつかない存在だったころ、この海で合宿をしていた。遠い遠い昔のような、ほんの数年前のような。

「シゲさん、ここで寒中水泳イベントやりたいですね。そのときにライヴをしませんか?」
「いいですね。俺も寒中水泳に参加させてもらいたいです」
「シゲさんだったらそう言ってくれると思ってましたよ」

 真夏の海辺ではたびたびイベントが開催されるが、秋になるとひっそりする。十一月の今は観光客もいず、風がつめたい。浜辺近くのホールでライヴがあるので、我々はリハーサル中だ。大学合唱部の合宿所の話をしたら、スタッフがその浜を見てみたいと言う。彼の運転で俺もここまでやってきた。

 彼はイベント会社の社員なので、思いついた企画の話などもしている。寒中水泳イベントはフォレストシンガーズかな、シゲさんの単独かな、などと、実現するかどうか不明のことを悩んでいた。

と、一陣の風……。

「うっ」
「うわ、木枯らしですね。ああ、思い出した」

 山口誓子の句です、僕が作ったんじゃありません、とことわってから、彼は口にした。

「海に出て 木枯らし帰る ところなし」

 帰るところがあってよかったですよね、お互いに、と彼はつけ加える。こんなシーンで自作ではないとはいえ句を口にするとは、乾さんみたいな奴だ。

END

 

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