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読書ノート25

①岩井志麻子「五月の独房にて」

げに恐ろしきものは人間のプライドなり、ってか?

彼女が人を殺したのは巨大化したプライドのせいで、男の取り合いで相手をライバル視していたせいだとは思われたくないのもプライドで、わからなくもない。
なんでもかんでも他人のせいにしてしまうのも、私はそんなことしない、とは言い切れない。

五十三歳の彼女が小さい男の子に「おばあちゃん」と呼ばれ、そこから暴走してしまうのもプライドゆえ。
厄介なプライドを捨てられないのもまた、人間なのですね。


②林由美子「堕ちる」

自己保身よりは、我が子のため、我が子がいちばん大切、夫なんかよりも娘のほうが大事、大事!!
この気持ちもわかるなあ。

小説にしてもドキュメントにしても、自分とはまったく関わりのないなにか。
たとえば、ヤンキー少年とか。
ジャングルに棲むジャガーとか。

そういうのが題材である場合の感覚と、わかる!! ものすごく共感できる!! という立場の感覚とがありますね。
前者の場合も面白いものはむちろん面白いのですが、後者だと息苦しいほどのリアリティを感じて唸ってしまうことがあります。

このサイコサスペンスは後者の意味もあって、傑作だと思います。


③NHK編「女性たちの貧困」

貧困ってほどではなく、ちょい貧乏、くらいの私ですが。
若い女性たちの貧困を取り上げたこのノンフィクションは、わかるわかる、私も同じ、というのではなく、でも、身につまされる感じ。

夫婦が離婚する際、日本では子の親権はたいてい女性に行くと男性が怒っているようですが、その分、男というものはなにがあっても、妻と子を捨てて出奔し、のうのうと生きていくことができるってのもありますよね。

シングルマザーが子どもを死なせた、というような報道を見聞きするたび、父親はどこでどうしているんだ?! と叫びたくなる私です。


④柴田よしき「小袖日記」

ケータイ小説の定番、幕末なり戦国時代なりに女子高校生、またはキャバクラ嬢がタイムスリップし、志士や武将と恋に落ちる。ゲームにもよくあるようで、俺さま武将の口説き文句をちらっと見たりするとむずがゆくなるのですが。

この小説は29歳不倫OLが平安時代にタイムスリップし、紫式部の侍女の身体に入り込んでしまうという設定です。
当然ながらケータイ小説とはレベルがちがいすぎます、はい。

光源氏のマザコン女狂いロリコン!!
と柴田よしきさんもちょっとは思ってるんだな、と、可笑しかったです。


⑤群ようこ「あたしが帰る家」

娘に「あの人」と呼ばれ、外出したら帰ってこなかったらいいのに、と願われ、殺人計画まで立てられる父親。
軽く仕立ててあるけど、ブラックですね。

子どものころの私も、父が出張となると嬉しかった。
出張中止になって帰ってこられるとものすごくショックでした。
哀れな父ではありましたが、それ相応の理由もあるのでね。


⑥ぬまのまさこ「みんな夢見る少女だった」

昭和十年生まれの戦争を知っている世代。新制中学に移行した時代の女性です。
早稲田大学近くの土地で生まれて育った東京っ子で、それだけにきっとませていたのでしょうね。

この時代、都会の子と田舎の子はずいぶんずいぶんちがっていたはず。

そんな少女がだんだん成長していき、もう子どもじゃないんだな、と感じるところまで。
こういうのは大好きです。


⑦家田荘子「何キロやせたら綺麗になれますか」

まちがいなく体質ってあると思います。

食べ過ぎれば太る、摂取カロリー以上に消費すれば痩せる。
基本はそうなのでしょうけど、スムーズにダイエットできる人も、なかなかできない人もいる。

決して怠惰だとかだらしないとかではなく。

なのに現代日本は、痩せていることをもてはやしすぎますよね。
私も太りたくないたちなので、痩せすぎも綺麗じゃないよなぁ、でも、太目よりましだ、なんて感覚を持ってはいますが。


⑧唯川恵「刹那に似てせつなく」

復讐を肯定しているストーリィは嫌いです。
そんなことをやってるくらいなら、もっと建設的なことを考えたら? 最低の奴に復讐するのは、自分もそのラインまで降りるってことでしょ、と綺麗ごとを考えてしまうのですが。

だけど、このストーリィの主人公の復讐は肯定したくなる。
こういうことって現代ではありそうなだけに、いつなんどき自分が当事者になるやもわからず。

ラストはこうなるのかなぁ。こうしかないな。
切ないね、ほんと。


⑨五十嵐貴久「1981年のスワンソング」

この方の文章はものすごく細部まで細かく細かく書き込んであって、私とは合わないのですが、ストーリィは興味深い。
2014年のサラリーマンが1981年にタイムスリップするって、よくあるタイムスリップものとはいっぷうちがってますね。
そこもこの方の細かさがあらわれているのでしょうか。

ってか、ちゃんと意味はあるのですよ、もちろん。

現代の有名人が無名の姿でひょこっと出てきます、次々次々。

要するに現代のヒットソングを80年代に発表してヒットさせるという話なのです。
そんなうまいこと行くかぁ?
この曲、そんなにすごいかぁ?
やっぱり疑う人も出てくるよね、などなどの疑問も乗り越えて。

ラストに出てくるのはあの方。
そっか、そう来ましたか、なるほど。


こうして書いていると、やはり女性メインの作品が多いですね。

Kone


この子も女の子。
六か月を過ぎて避妊手術をして、ただいまはエリザベス・小梅になっております。


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