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読書ノート11

①岩井志麻子「女学校」

先日テレビに出ていらっしゃるのを見たら、意外に普通のおばさんでした。この方、数奇な人生をたどっておられるのですよね。私は作家になるのだ!! と言って夫と子を捨てて岡山から上京したとか。作家になれてよかったですね。なんかうらやましい。

「学」は旧字であるのが示すように、大正あたりの良家のお嬢さまふたりが、女学校を卒業して素敵な男性と結婚し、先輩の家に後輩が招かれてお茶している。そのふたりの会話からめくるめく世界へ。

え? 私は本当は良家のお嬢さまが結婚して若奥さまになった女ではないの? 本当は女郎? 本当は囚人? こうだったらいいのになぁ、と妄想しているだけ? というような世界に読者をひきずり込んでいく、そんなお話です。

②乃南アサ「夜離れ」
 
極端な人間というものは、物語になるのであるなという、そういった人々が主人公になっている短編集です。

女の嫉妬もメインテーマのひとつで、友人の結婚式でスピーチをする女性が出てきます。
「この子ったら清純そうなふりをして新郎をたぶらかしたみたいだけど、二十歳のときに悪い男にひっかかって妊娠しちゃって大変だったんですよ」みたいな。この通りの台詞ではありませんが。

そんなことを言ってガードマンにつまみ出されるわけですが、回りの人間がどれだけ、あんなのは嘘よ、と言ったとしても、夫は妻に一生、猜疑心を抱き続けるのでしょうね。ことあるごとに思い出したりして。うう、コワッ。

③東川篤哉「もう誘拐なんてしない」

例の「謎解きはディナーのあとで」の作家さんの、ブレイク前のミステリです。テレビドラマにもなってあまりにも大人気で、そうなると読みたくなくなるひねくれ者の私は、別の作品を読んでみました。

「ディナーのあとで」のほうはミステリ初心者には面白いだろうけど、スレた読者には向かないとのことで、この本も同じく。私はギブアップ。あまり本を読まない若いひとに貸したら、「あれ、面白い」と言ってましたから、そういう作風なのでしょうね。

④中村うさぎ「月9」

浪費の女王だってことで売り出したうさぎさんの、小説は好きです。リズムもテンポもよくて文章がうまい。

月曜九時のドラマ、トレンディドラマの代名詞になっていたあの世界が舞台ですから、女性脚本家さんたちにはモデルがいるのかも? 月9はまだ言うのかもしれないけど、トレンディドラマだなんてだーれも言わなくなりましたね。

これまた女の嫉妬やどーろどーろが渦巻く世界で、四人の女とその愛人なども活躍する。ハゲオヤジの志水さんが内面はけっこうかっこよかったりもする。痛い女を描くのも大変お上手で、世界にするーっと入り込めます。読んでて気持ちいい世界ではありませんけどね。

⑤柴田よしき「やってられない月曜日」

こちらは読後感がすかっと爽やかです。

一流出版社にコネで入社して、社内では一段低い目で見られている経理のネネと、同期のヤヤ。この名前だけでもおたくって感じ?

ネネはドールハウスの変形のようなフィギュア作りが趣味で、ホームページも大隆盛。ヤヤはBL小説を書いて同人誌の世界では人気者。ふたりともに若いので、どこかのオバオタ(って、私も……だけど)とはちがって可愛いのですね。

文句も言いながらも楽しい生活を送っているふたりの日々も徐々に変化していき、さりげないハッピィエンド。柴田よしきさんの小説は、私にとってははずれたためしがありません。

⑥沼田まほかる「九月が永遠に続けば」

一度読んでいたのに忘れてまた買ってしまったのですが、もう一度読んでもやっぱりすごかった。

けっこういいお年になってからのデビュー作だそうで、この圧倒的な筆力が新人だなんてとうてい思えません。なんでこんな方が五十代までデビューできなかったんでしょうね?

魔性の女がいる。その娘もまた魔性の女? そんな女に翻弄されていく何人もの男。巻き込まれていく主人公。ほんと、この作品はすごいです。すごすぎて感想が書けませーん、と言って逃げておきましょうか。

⑦荻原浩「千年樹」

ある町に一本の古い古い巨木が立っています。
樹は黙って人間たちの営みを眺めています。

1000年くらい前に味方の裏切りに遭って逃げる家族からはじまって、戦争中の男女やら、イジメられている中学生やらを、樹はただ見下ろしています。

私は生まれ変わったら樹になりたいとは、だいぶ前から思っていました。こうして人間たちを眺めては物語を紡いで、吹きつける風や旅をする木の葉や、翼を休めにくる鳥たちに語りたい。あ、それも今度ネタにしよう。

⑧桐野夏生「アイムソーリーママ」

人間として完璧にこわれている女、アイ子。彼女は「ぬかるみハウス」という娼館で生まれ、おかみの部屋の押入れで大きくなり、怪物に育った。

アイ子を軸にさまざまな人間模様が展開していきます。

変な女っていうのは私も書きたくてよく登場させますが、むずかしい。一生懸命書いても「変な女」止まり。怪物女なんてのは相当な筆力と描写力がないと書けませんよね。自分で書くのはムリだから、桐野さんや岩井さんや、その他大勢の女性作家さんの物語に頼りましょう。こういう女は女が書いてこそいきいきリアリティがある、のかな?

⑨田辺聖子「ナンギやけれど」

阪神大震災のときに伊丹に住んでらした聖子さんの、震災体験記と講演のお話をまとめた本です。私は大阪でちょっとだけ大震災に触れて、西の宮や神戸の惨状はこの目で見ました。それだけにこの本、随所で涙が出てぐちょぐちょでした。

去年はまた東日本大震災があり、阪神以上の大惨事になり、復興への道のりも遠い。そんなことも考えつつ読みました。

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このところあまり収穫がないかと思っていたら、次々に出てきましたね。
長く書くのもなんですから、今回はここまでにします。
これで一月下旬までに読んだ本ですので、続きは後日。読んで下さった方、ありがとうございました。続きも読んでやって下さいませね。

 

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