①柴田よしき「少女達のいた街」
再読。
とはいえ、ずいぶん昔に読みましたので、肝心の部分は完全に忘れていました。ミステリですから、忘れているほうがいいのです。
主人公の菜月は70年代ロック少女。舞台は渋谷ですから、私はこの時代だとまだ行ったこともなかったかもしれない。私がロック少女になったのはもうすこしあとだけど、出てくるメジャーなロックバンドの名前はみんな知っている。
ロックをやっている高校生の少年少女、彼らを取り巻く人々。柴田さんもロック少女だったのだろうなぁ。
「この男は永田町では有名なんだよ」
「そんな、ご町内で有名だからったって、あたしはそんな町は知らないよ」
なんて会話。
それから20年がたち、死んだと思われていた人が実は生きている? などという複雑なストーリィなのですが、私は単純に、70年代の風俗やロックや、若者たちの心を楽しませていただきました。ミステリとしてではなくても面白いです。
②東野圭吾「流星の絆」
同じ大阪出身ってことで、勝手に親しみを感じています。東野さんの作品は好きな場合と好きになれない場合があるのですが、これはよかった。
流星群を見ようと、両親には内緒で夜中に外出していた兄と弟と妹。三人がいない間に両親が殺されてしまったという、ショッキングな幕開けです。
三人は施設に入れられて成長し、詐欺師になっている。詐欺をしているうちに、両親を殺した真犯人? と思われる人物に遭遇する。頭のいい兄は妹をその男の息子に接近させ……そしてそして、高まるサスペンス。
ネタバレになってはいけませんので、それからどうなるのかはお読み下さいとしか書けませんが。
東野さんの書くメイン女性には特徴があります。著者の好みであるのか、長身で美人でしっかりしていて、男に頼るのを潔しとしない。彼の書くハッピィエンドは、ふたりは結婚していつまでも幸せに暮らしましたとさ、ではないことが多い。
にしては今回、このふたりは結婚したって合わないでしょ、だったのですが、こうしか仕方なかったのかなぁ。うーん、疑問。
③新美南吉「ごんぎつね」
昔の同人誌仲間からの議案がありまして、「ごんぎつね」の結末をどう思う? でした。
私も子供のころに読んだはずだけど、覚えていない。では、もう一度読もうというわけで、図書館で借りてきました。
時代背景もあるのか、教訓的、宗教的、勧善懲悪的ストーリィが多い。「ごんぎつね」のラストをどうしてこんなふうにしたのかは、解釈のしようによってどうとでも考えられますね。
そんな話も同人誌仲間のブログでやって、私は考えました。これ、ハッピィエンドにできる。そこで書いたのが「パラレルごんぎつね」でした。
http://quianred.blog99.fc2.com/blog-entry-522.html
甘っちょろーい!! とのご意見ももっともではありますが、自覚した上で書いたのですよ。
ごんぎつねは小学校四年生の教材なのだそうですね。小学校の先生方はそれぞれ、どんなふうに児童たちに授業なさるのか、興味あります。私が小学校のときの先生は……まったく記憶にございません。
④岩井志麻子「嫌な女を語る素敵な言葉」
有吉佐和子さんの「悪女について」を思い出します。ひとりの「悪女」を視点を変えて見つめる。彼は彼女をこう評し、別の彼はまるで別の見方をし……といった物語でした。
出てくる女、出てくる女、やな女だと言ってしまえばそれまでですが、哀れというか痛々しいというか、私はやっぱりSなんですよね。
「あたしは男には超積極的っすよ。
捨てるときには絶対にこっちから捨ててやる。
性的にはオープンっすね。テクもものすっげぇありますよ」
この台詞が、太っていてブスな女の口から出る。その痛々しさ、哀切さにサド心が刺激されて、私もこんな女を書きたい、と思った次第です。
それにしても、顔は人生を左右するのですよね。好きな異性のタイプだとかいって並べ立て、「ただし、可愛い子に限る」「ただしイケメンに限る」って、言うまでもなかったりするのですから。
美人は子供のころからもてはやされて性格もよくなり、ブスやデブは外見に見合って内面も歪む。これは真理だと思います。神様が不公平なのも当たり前っちゃ当たり前なのです。
⑤石橋春海「封印歌謡大全」
放送禁止歌を主に取り上げています。
ひとこと、放送禁止用語が入っているからとか、むずかしい問題に触れているからとか、他にも、ジュリーがナチスみたいなファッションをしてたからとか、扇情的すぎるとか、そんな理由で放送禁止になった歌の数々。
歌というものには大きな興味がありますので、読みふけりました。
殺人を犯した歌手ってのもいたなぁ。彼は娑婆に戻っているのだそうで、献身的な年下の奥さんまでいたのだそうで、だからなんなのかではないのですけど、ふーむ、そうだったのですね。
⑥京極夏彦「厭な小説」
「厭だ」ではじまり「ああ、厭……」でおしまいになる連作短編集。不条理小説といえばいいのでしょうか。
「嫌な女……」「厭な小説」、私は「イヤな」といったタイプの物語を読むのは好きです。平岡夢明「他人事」とルース・レンデル「ロゥフィールド館の燦劇」が双璧だと思っています。
「他人事」と較べればこれはたいしたこともないな、と思いつつ読み進めていくうちに、うう、本当に厭な小説だぁ。厭な彼女とか厭な同居老人だとか厭な上司だとか厭な友達だとか、厭だイヤだ、嫌だー、そばに来るなぁ、しっしっしっ!! いやーっ!!
ラストのいやぁないやぁな上司とふたりっきりの新幹線。時間がループして、ループを切るためのひとことがある。その言葉を口にすれば、別のいやな世界へと墜ちていく。ああ、いやだいやだ。
「他人事」「ロゥフィールド館の燦劇」「厭な小説」は、こういった世界が好きな方にはオススメですが、小説を読んでいやな気持ちになりたくない方は、くれぐれもお読みになりませぬように。
あと、道雄秀介「向日葵の咲かない夏」もね。好きな方にはおススメ。嫌いな方には避けて通って下さいと、両極端の言葉を捧げます。
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