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120・桜夜風

スキマスイッチってあまりよく知らないのですが、唯一、随一好きな歌が「桜夜風」です。歌詞を耳にして、これはフォレストシンガーズの境遇に似合うと感じました。

目を閉じてひとつの曲に浸っているときに、物語のおぼろな輪郭が見えるときがあります。「桜夜風」はそうしてできていったストーリィでした。

視点が移り変わっていくという手法は好きで、私には書きやすいのもあって、時々使います。昔、リレー小説をやっていたときにも、展開に困ったら場面転換、視点を変えるってのもよくありました。三人称、神の視点だったりしたらこの方法は普通ですが、一人称でもやります。

第一章、三沢幸生、二十六歳。フォレストシンガーズがデビューして五年目の春のある夜に、幸生の部屋に章が遊びにきて、うだうだ喋ってから帰っていく。章が帰っても喋り足りていない幸生は、眠りにつくまでひとりごとを言っていた。
 
眠ってからも寝言を言っていた。そのすべてが、章が隠し録音していったテープにおさまっていた。幸生の羞恥心は普通の動きははませんので、みんなと一緒にテープを聴いているのは楽しかった。

私だったら恥ずかしくて人と一緒には聴けませんよ。そんなものがあったらひとりででも聴きたくない。そのくせ、こそっとちょこっと聴いてみては、うぎゃっと叫んで止めてしまいそう。

第二章、小笠原英彦、二十七歳。ヒデはフォレストシンガーズを脱退して、すでに離婚してさすらい生活に入っている。どこかの街のアパートの庭で会った、桜の精?

男性ってものは特に男同士の場では、あけすけな下ネタをやりますよね。すこしはリアリティを出すために、私も書いてみようと思うのですが、やはり恥ずかしくて中途半端になってしまいます。ヒデなんかは時によっては下品なので、下品な台詞を言わせようとこころみては、純情な著者が赤面しているのです。

第三章、山田美江子、二十八歳。フォレストシンガーズのマネージャーとして、一人前になりつつある。仕事で母校の近くを通りかかり、なつかしいコーヒーショップに入る。

「オレンジペコ」というこの店は、他の短編にも出てきます。本橋くんは「みかんのオレンジとペコちゃん? 変な店名だな」と言っていました。美江子が一時「世界でいちばん好き」と思っていた星丈人も、この店とはえにしがありました。

第四章、木村章。三章までから一年がすぎ、新しい春になり、章は二十七歳になっています。去年と同じライヴを母校の近くでやって、みんなは大学に行くと言う。章は大学は中退していますので、いまだこだわりがあって別行動になる。

公園で桜を見ながら、桜ロックを作曲しようと頭を悩ます章。曲なんてものもふいに天から舞い降りてくるものなのでしょうか。創作のヒントって、人はいろんなふうに得ているのでしょうね。

第五章、本庄繁之、二十八歳。まだ新婚さんのシゲは、仕事で妻を置いて京都に来ている。京都の夜桜を見ながら散歩していて、あやかし譚のような話を聞かされて震え上がる。

豪胆なようで繊細なようで、鈍感のようで気の優しいシゲちゃんが、この世でいちばん怖いものは奥さんの恭子さん(怖いにもさまざまありまして、美江子さんとか泉水ちゃんとか、仲のよい女性をある意味、怖いと思っているシゲ)。あの世にいるものも怖いのです。

恋愛話なんかよりも、俺はランニングがいい、とばかりに、夜中の京都を先輩と後輩を従えて走るシゲでした。

第六章、乾隆也、二十九歳。シゲと同じ京都で、桜やカクテルや自分たちの人生に思いを馳せる。考えすぎ隆也の一夜。

第七章、本橋真次郎、二十九歳。京都篇の続きです。

東京へと帰る新幹線こだまの窓から見えた桜花に惹かれて、シゲとふたりして途中下車してその桜を見に行く。川辺に咲きこぼれる桜を見ながら、シゲと歌う歌が、「桜夜風」

「あらがう時よもうさようなら
 弓張り月の向こう側へ
 吹き抜ける桜夜風
 春はもうそこに待つ
 ひとり静かに待つ」
 
フォレストシンガーズの春も、もうすぐそこに待っていますよ、かな?

Ssakura

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コメント

「スキマスイッチ」好きですよ~(^^)v
「奏(かなで)」はよく?カラオケで歌います。下手ですけど・・・(⌒^⌒)b♪♪

実は私は、スキマスイッチは、他の曲は……
以下省略。

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