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2009年10月

NEWブログパーツ

このブログにもコメントを残して下さった、ニコッとタウンのとある方との出会いで……、はい、あなたです。cat

年も年ですので、私の音楽の趣味は古くて、ネット上で知り合った若い方とだと話が通じないのですね。mixiにだったら、年齢が近くて音楽の話のできる方も、二、三、いらっしゃるのですが。特にロックの。

ニコのその方とはとってもとっても音楽の話が通じまして、うれしくなりました。

「茜いろの森」でも一応はミュージシャンたちのストーリィを書いていますし、音楽の話は全然それてるわけでもないし、ということで、こんなブログパーツを置いてみました。左下のほうをごらんになって下さい。CDラックです。

好きなバンド、好きなシンガー、いっぱいいっぱいいて、誰を選ぼうかと迷ったのですが、トップバッターはDURAN DURANです。

永遠のアイドル。私の永遠のナンバーワン美青年、ジョン・テイラー。ミーハーきわめつけでございます。coldsweats01

私の好きな音楽につきましては、「茜いろの森」の「章と隆也の音楽話」でも展開しているのですが、やっぱり一番はロックです。

あと、レゲエ、ジャズ、ソウル、バラード、フォークなんかも好き。今どきすぎてわからない、というものはありますが、嫌いなジャンルは特になくて、ただ、知識に乏しいというだけだったりします。

日本では一に甲斐バンド。二にZIGGYですが、海外ロックバンドはありすぎて書ききれません。DURAN DURANがナンバー1でもないのですが、今日のところは彼らを選んでみました。

それからとりあえず、10枚ほど追加もしました。今後増やしていく予定です。

私の音楽についての趣味に興味を持ってくださった方は、毎度のことですが、こちらもどうぞよろしくです。

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2・旅のはじまり

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「茜いろの森」に連載している小説の解説その2です。

「旅のはじまり」のタイトルは、彼らが所属する大学合唱部に古くから伝わる歌ということで、OBが作詞作曲しました。実際の作詞は……誰なのか追及しないで下さい。

主人公はフォレストシンガーズナンバーツー、サブリーダーの乾隆也。植物系青年でしょうね。とはいえ、内面は熱いのですが。

その乾くんの学生時代、恋と歌と友達とのストーリィです。

乾くんを書いていてよく考えます。彼って読んでくださった方はどんなふうに思うのだろうか。特に乾くんを書いていてよく思うので、私にとっては可愛いキャラのひとりなのですね。

ストーリィ作りが下手なのもあって、私はキャラクター重視型です。かつてもたくさんたくさん小説を書いてきて、自分のキャラに恋したりしてました。

乾くんもそのひとりかな。こういうひととは恋をするよりも、議論してみたい。議論して言い負かせてみるってのは無理かな。語彙が同じなので議論にならないのか。

私は寡黙な男性は苦手ですので、こんなふうによく喋るひとのほうが好き。まあ、小説のキャラが無口だと、取り扱いに大変困るというのもありますが。

もしも興味を持ってくださって、「茜いろの森」を読んで下さった方がいらっしゃいましたら、ぜひともご感想をお寄せくださいね。

心からお待ちしております。

とはいえ、こんな小説を人さまに読んでいただくなんて恥ずかしい、という気持ちもあるのですが、もの書きの習性なのでしょう。読んでいただきたいです。

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茜いろの森1「翼を下さい」

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このurlが、私の小説サイト「茜いろの森」。何度も書いてますが、よろしくお願いします。

ココログは「茜いろの森」サイドブログとでも申しますか、サイトに載せている小説にまつわる諸々を書いていく心積もりでいます。

「茜いろの森」をはじめてから一ヶ月余りが経過しました。

その間にアップした作品は51編。今日からひとつひとつの作品について、著者自ら解説させていただきます。

1「翼を下さい」

タイトルは有名な曲ですね。赤い鳥などが歌っている、フォークソングの定番でしょう。

のちにフォレストシンガーズのリーダーとなって世の中に出ていく本橋真次郎の、大学時代のストーリィです。

時代としては現在から十数年前。一応、時代設定はしているのですが、シンちゃんは昔の男っぽい男なのでしょうね。

今どきの草食系男子ってのも私は決して嫌いではありませんし、シンちゃんにしてもたいして肉食系でもありませんが、こういうタイプとはお友達がいいかな。著者から見て彼にしたいタイプではないと言うか。え、なになに?

「俺のほうからお断りします」

と生意気にもキャラが申しております。

彼も今後は成長していきますので、あたたかく見守ってやって下さいね。

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フォレストシンガーズ

彼らは私の自作キャラなのですが、実は「フォレストシンガーズ」ってグループが実在するのですね。インターネット検索してみると、子供の歌(かな?)みたいなのを歌ってCDも出しておられるようです。

まさかとは思いますが、もしも関係者の方が私のブログをごらんになったとしたら……まさかでしょうけど、ぱくったんじゃありませんからねー。もしももしもごらんになったら、コメント下さい。陳謝いたします。

ずっとずっと長い間、アマチュアとはいえ小説を書いてきました。同人誌にもいくつか関わり、新人賞に応募して、一次予選までは通ったり。

そうこうしているうちにインターネット社会となり、簡単にできるブログってものも登場し、小説サイトを作ろうと決心して、拙作をアップさせてもらうようになった次第です。

最初はmixiでごく短い音楽っぽい小説を書いていて、ふと頭に出てきた「アキラ」。

アキラはmixiに書いた小説にちらっと出てくるのですが、あのアキラが木村章の原型であり、ちょこっとちがっていたりもします。

それから次々に他のキャラもできていったので、やはり章がメイン中のメインです。

昔から「起こったことをありのままに」書く作文なんてものは苦手でして、脚色したくなる、嘘を書きたくなる性分なのですね。

ですから、嘘ばっかり、想像ばっかり、妄想ばっかり、現実逃避ばっかり、の小説を書くのはとてもとても楽しい。自作のキャラと遊ぶのは楽しい。時として彼らが勝手に動き出してしまって「おいおーい」っていうのも楽しいです。

「茜いろの森」

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こっちのブログはひとつひとつが長いので読むのは疲れると思いますが、読んでいただけたらご感想やアドバイスをいただけると、感謝感激感涙であります。

どうぞよろしくお願いします。

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キャラクター

フォレストシンガーズ

  ○○大学男子合唱部を母体として、19××年結成。「フォレストシンガーズ」と、メンバーたち自らによって命名される。アマチュアとしての二年余りの活動を経て、メジャーデビューを果たす。デビューシングルは乾隆也作詞、本橋真次郎作曲のラヴバラード、「あなたがそこにいるだけで」。以下、年齢はデビュー当時である。
 
 本橋真次郎。24歳。理学部宇宙科学科卒。
 リーダー、バリトン。身長179センチ。筋肉質。東京都出身。
 直情径行型、瞬間湯沸かし器。一本気な性格。メンバーたちからは、リーダーは鈍感、と評されている。 ウルトラマンが大好き。他人の出身地あても好き。
 話している際にはごく一般的な男性の声であり、とりたてて特徴的でもないのだが、歌うと伸びと張りと 艶のあるなめらかでまろやかな声に甘さを多分に含ませ、ラヴソング、バラード、ソウルミュージックを 特に十八番とする。作詞もおこなうが、ラヴソングの作曲がもっとも得意。ピアノはプロ級の腕前。
 
 乾隆也、24歳。文学部日本古典文学科卒。
 サブリーダー、テナー。身長177センチ。細身。石川県金沢市出身。
 フォレストシンガーズの陰の黒幕とも噂されている。複雑怪奇にねじれた性格の持ち主で、ストレート勝 負は好まない。考え すぎ傾向、ひねくれ者傾向あり。多弁。いまだに純愛に憧れている。
 話している際はやや高めの声。歌うと、華麗なる高音から、わずかにかすれる低音まで、バラエティ豊か な声を出せる。フォークソングが趣味。作曲もできるが、作詞が得意。英語で作詞もする。フォークギタ ーを弾く。
 
 本庄繁之、23歳。史学部日本近代史科卒。
 バス。身長171センチ。筋肉質。三重県北牟婁郡出身。
 温厚で心優しく誠実な「気はやさしくて力持ち」タイプ。比較的無口。
 話す声はあくまでも低くて渋い。高音も出せば出るが、平素はベースヴォーカル、ベースコーラス担当。 音楽ならなんでも好きで、どんな歌にも適応するが、基本的に作詞作曲はやらない。楽器もやらない。
 
 三沢幸生、22歳。経済学部経済学科卒。
 テナー。身長163センチ。細身の少年体型。神奈川県横須賀市出身。
 きわめつけの饒舌、ハイテンション。かなり周囲に気を使う性格。女が大好き。
 話していると甲高い少年っぽい声。歌うと女声に近い高くて甘い声から、落ち着いた低い声までを出せる、歩く「ヴォイスチェンジシャー」。作詞が得意。女になり切っての芝居も得意。ハモニカとヒューマンビートボックスも得意としている。

 木村章、22歳。工学部通信工学科中退。
 テナー。身長161センチ。骨っぽいスリムな体格。北海道稚内市出身。
 気分屋でひがみっぽくて気が弱い。それでいて反骨精神は旺盛。惚れっぽくふられっぽい。フォレストシンガーズのトラブルメーカー。
 もとロックヴォーカリストであり、へヴィメタ声とも評されるとびきりのハイトーンヴォイスの持ち主。 あるいはカウンターテナーという声質をそなえているのかと、周囲を悩ませる。話す声も高い。叫ぶ声は突拍子もなく高い。作曲には特異なまでの才能を発揮する。ロックギターを弾く。

  小笠原英彦 23歳。心理学部心理学科卒。
 テナー、身長175センチ。細身。高知県高知市出身。
 土佐の闘犬とも言われていた。
 

 山田美江子、24歳。教育学部教育学科卒。
 マネージャー。身長160センチ。中肉。栃木県宇都宮市出身。

こういった登場人物の小説を書いています。

続きこちらでどうぞ。

 
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ですから、ペットは現実離れした言葉ばかり覚えます。

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ちょっと一部を

6・エピローグ

「ねえねえ、高校のころのラヴストーリィが聞きたいな。順番に話しましょうよ。はーい、まずはリーダーからね」
 幸生が口火を切り、みんなして真次郎を見つめる。高校のころのラヴストーリィといえば、真次郎にはあれしかない。あれしかないので思い出すままに語り終えてから言った。
「とな、こんなんだぞ。こら、俺にばっかり話させて、おまえらは話さないのか。順番じゃなかったのかよ。章、寝るな」
「……うるせえんだよ、ド下手」
「なんだと、この野郎」
「寝言だよ。本橋、抑えて。章はロックバンドの夢でも見てるんだ。ああ、俺も眠くなってきた」
「乾、おまえも寝るな。次は幸生が話せ」
「リーダーの素敵な可愛い恋物語を堪能させていただきました。僕も寝て、幼い恋の想い出に浸ろうっと。おやすみなさーい」
 わざとらしく布団にころがって、隆也も幸生も寝息を立てはじめる。章はとっくに寝ている。三人に布団をかけてやっている繁之に真次郎が視線をやると、繁之は咳払いをした。
「俺にはなーんにもありませんよ」
「おまえだって……いいよ。俺たちも寝るか」
「寝ましょう」
 石坂しのぶが俺の告白を拒否したおかげで、俺は受験勉強に専念できた。おかげであの大学に合格して、おまえたちと会えた。だからこそプロにもなれた。人生七転び八起き、人間万事塞翁が馬。そうだよな、と真次郎は思う。
  家庭の事情があって、野島は大学には行かなかったらしいが、彼のその後の人生は知らない。しのぶにしても、はるかに遠い想い出のひとつとなった。野島もしのぶも真次郎よりはひとつ年下だったのだから、真次郎が高校を卒業してからは会う機会も、近況を知る機会も途絶えてしまったのだ。
 空手馬鹿の兄たちに反旗を翻したいのもあって、スポーツには背を向けて、歌の道を選んだ。そうしたのもこうなるためか、とも思う。
 寝たふりをしながら、隆也もまた思い出を噛み締めていた。
 まゆりと別れて数日後、たったひとりで旅立った朝。出征兵士でもあるまいし、見送りなんてないのが当然だろ、と強いて考えてはいたけれど、隆也はまゆりの姿を空港で探していた。だが、むろん、彼女はどこにもいなかった。
 東京に到着した夜には、生まれてはじめてのひとり暮らしのちっぽけなアパートで、まゆりに手紙を書いて破り捨てた。まゆりが教えた煙草を吸って、石油ストーブでするめを焼いて、コップ酒を飲んで酔って寝た。
 もしもまゆりと別れたくなくて、東京に行くのを断念していたとしたら、俺は今はここにいなかった、と隆也は思う。
 もしかしたら、と今になって繁之は考える。俺が東京の大学に行って、東京の男になろうとしたのは、彼女の前に出ても恥ずかしくない自分がほしかったからなのだろうか。
 伊勢神宮で出会った、名も知らぬ女の子。実際にこの世ならぬものだったのかもしれない彼女とは、それから一度も会ってはいない。誰にもそんな話をしてもいない。幸生だったらきっと、なんでそんなチャンスを逃すのっ、と俺を責めるだろう。ヒデだったら、この世ならぬ女の子が赤いコートを着て、紙コップやポットを持ってんのかよ、安物の弁当食うのかよ、とまくし立てるだろう。
 素敵な恋の記憶だね、と乾さんは言うかもしれない。恋なんかじゃありませんよ、と俺は赤くなるだろう。本橋さんだったらこうだろうか。
「シゲ、それはきっと夢だ。白昼夢ってやつだ。目を覚ませ」
「昔の話なんだから、目は覚めてますよね。シゲさんらしいなぁ」
 誰にも話してもいないのに、そう言うかもしれない章に、空想の中でうるさい、と言い返しながら、繁之は、となりの布団にいる幸生を見た。俺はあの子と出会ったからこそ、おまえとも出会ったのか。他の三人とも出会えたのか。
 なに考えてんの、シゲさん? と言おうとして言葉を切った幸生の頭にも、「あのころ」が蘇ってきていた。高校三年生の正月に、幸生は横須賀の神社で手を合わせて祈っていたのだった。
「東京の大学を受験します。俺の学力では少々レベルの高い学校だから、合格ラインぎりぎりだって先生は言うんですよ。大学の学部なんてややこしくてよくわかんないから、無難なところで経済学部を受験することにしました。受かったらひとり暮らししてもいいって、両親も約束してくれてます。神さま、どうかお願い。背も伸びたいけど、現役で大学に入学させて下さい」
 大学を卒業して就職して、あっさりと俺にバイバイして札幌に行ってしまった麗子さんにめぐり会って、あなたは俺をなんだと思ってたの? と訊いてみたい。できるものだったら札幌の大学に行きたい。だけど、いっときの遊びとして年下の高校生とつきあっていたにすぎないんだったら、そんな麗子さんには会いたくもない。麗子さんへの想いは振り切るから、大学生になったら可愛い彼女ができますように。
 麗子さんに会いたくて札幌の大学を選んでいたとしたら、俺はみんなと会えなかったんだよね、と幸生は思う。ある意味、麗子さんのおかげだと言うか、おかげでもないのかな、と首をひねっていたら、章の寝息が聞こえてきた。
「章は寝ちゃったから歌えないだろうけど、歌いましょうよ、先輩たち。今はたぶん、みーんなおんなじような年頃だったころを思い出してるんでしょ? 十六歳? 十七歳? 高校のころってはるかに遠い昔のようでいて、そんなに過去でもないんだよね。ね、これは?」
 英語は苦手なんだけど、たった今のシチュエィションにぴったりの歌。これで決まりだ。幸生は歌い出した。

「I learned the truth at seventeen
 That love was meant for beauty queens
 And high school girls with clear skinned smiles
 Who married young and then retired

 The valentines I never knew
 The Friday night charades of youth
 Were spent on one more beautiful
 At seventeen I learned the truth

 And those of us with ravaged faces
 Lacking in the social graces
 Desperately remained at home
 Inventing lovers on the phone
 Who called to say come dance with me
 And murmured vague obscenities
 It isn't all it seems
 At seventeen」

 「十七歳のころ、か」と隆也が曲名を口にし、そして言った。
「その歌って女性の心を描いてて、歌詞を訳すと暗いんだけど、まあ、十六や十七って明るい追憶ばかりじゃないもんな。十六歳でも十七歳でも、男でも女でも似たようなものかもしれない」
「十六歳を思い出すんだったら、一部分替え歌にすればいいじゃん?」
「seventeenをsixteenにすればいいんだな」
「そうですよ。でも、sixのiをeに替えないようにね、リーダー」
「そんな変な発想をするのはおまえだけだよ」
 呆れ声で真次郎が言い、繁之はため息をつき、隆也は笑みを含んだ声で言った。
「……俺は十六だったな。sixteenにしよう」
「俺も十六ですよ。シゲさんは?」
「俺にはなんにもないって言っただろ。しかし、うん、十六だ」
「なんにもなくないみたいじゃん。追求はしませんけどね。じゃあ、「十六歳のころ」に替えて歌いましょう。章も寝言で歌えよ」
 ただひとり、寝てしまっている章はなにを考えているのか、夢の中で十六歳の自分自身とたわむれてでもいるのか。反応はない。
 仕事先の宿での一夜、布団に横たわって闇の中で、四人で歌っている。互いに互いの心が見える道理もないけれど、五人が出会う前、少年だったころの追憶に浸って「十六歳のころ」を歌っている。ひねくれ者の章ひとりはちょっとちがうかもしれないけど、と幸生は思う。
 きっとみんな同じだね。そうやって東京の大学で五人が出会い、フォレストシンガーズのメンバーとなって歩きはじめた。今でもこうして歩いていて、ひとときの小休止の眠りの時間にまで歌っている。英語の歌の訳詞なんてどうでもいいじゃん。俺にはさっぱり意味不明なんだから。
 睡魔が彼らを眠りの世界へといざなうまで、四人はそれぞれの追憶と、歌とともにすごしていた。とうに眠っている章もまた、かすかに感じていた。ロックではなくても……俺はあのころに望んでいた通りに、歌って生きている。だからたぶん、今はハッピィなんだと。たぶん、がつくにしても、俺はハッピィなのだと。たぶんみんなも……たぶん……歌があれば。

END

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こんな感じです。

タイトルは「At sixteen」

最初のほうはこちらでどうぞ。

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小説タイトル

「茜いろの森」というブログで小説を連載しています。
10/19までにアップした小説のリストです。

http://quianred.blog99.fc2.com/?all

有名な曲や私がでっちあげた曲名が個々のタイトルになっています。
興味を持ってくださった方は、ぜひ一度見にきて下さいね。

2009/09/25 : 小説1-1(翼を下さい)
2009/09/25 : 小説1-2
2009/09/25 : 小説1-3
2009/09/25 : 小説1-4(1完結)
2009/09/28 : 小説2(旅のはじまり)
2009/09/29 : 小説3(風のロマンス)
2009/09/29 : 小説4(夢伝説)
2009/09/30 : 小説5(いつか俺にも)
2009/09/30 : 小説6(Love me tender)
2009/10/01 : 小説7(君がいた夏)
2009/10/01 : 番外編1(at sixteen)
2009/10/02 : 小説8(男は明日はくためだけの靴を磨く)前編
2009/10/02 : 小説8(男は明日はくためだけの靴を磨く)後編
2009/10/02 : 小説9(夏色)
2009/10/03 : 番外編2(I just called to say I love you)
2009/10/04 : 小説10(ハートブレイクボーイ)前編
2009/10/04 : 小説10(ハートブレイクボーイ)後編
2009/10/05 : 小説11(横須賀ストーリィ)
2009/10/05 : 小説12(この広い野原いっぱい)
2009/10/06 : 番外編3(星に願いを)
2009/10/06 : 小説13(ギター弾き)
2009/10/07 : 小説14(この街離れて)前編
2009/10/07 : 小説14(この街離れて)後編
2009/10/07 : 小説15(猫になりたい)
2009/10/08 : 番外編4(Stand by me)
2009/10/08 : 小説16(公園にて)
2009/10/09 : 小説17(公園にてⅡ)
2009/10/09 : 小説18(公園にてⅢ)
2009/10/10 : 番外編5(Gracias a la vida)前編
2009/10/10 : 番外編5(Gracias a la vida)後編
2009/10/11 : 小説19(春一番)
2009/10/11 : 小説20(アンチェインドメロディ)
2009/10/12 : 小説21(遠い恋のリフレイン)
2009/10/12 : 小説22(数え切れない雨)
2009/10/13 : 番外編6(you've gotta friends)前編
2009/10/13 : 番外編6(you've gotta friends)後編
2009/10/14 : 小説23(she's my girl)
2009/10/14 : 小説24(Bye Bye Recollection)
2009/10/15 : 小説25(我が良き友よ)
2009/10/15 : 小説26(Every little thing,Every preciouse thing)
2009/10/16 : 小説27(シーサイドバウンド)
2009/10/16 : 小説28(moonlight bluce)前編
2009/10/16 : 小説28(moonlight bluce)後編
2009/10/17 : 番外編7(君は天然色)
2009/10/17 : 小説29(天使の誘惑)
2009/10/18 : 小説30(風あざみ)
2009/10/18 : 小説31(海岸通)
2009/10/19 : 小説32(いとしのセシリア)
2009/10/19 : 番外編8(夏の思い出)

Book224

猫の物語

「ないしょのやくそく」

 そろそろ梅雨になろうという時期なのにあんなに寒かったのは、お熱があったからなんだよ、って、あとからちぃおばちゃんが教えてくれた。だけど、そのときのくぅにはなんにもわからなかった。
 静かで平和で楽しい、大好きなママのいたおうち。ここはおうちじゃないね? ちいさい足が踏んでいるのは湿った土。くぅがはじめて踏む地面。目が見えない。心細くて寒くて哀しくて、なのに声も出ない。なにより寂しいのはママがいないことだった。
 あったかなママのおなかにもぐりこんで、おっぱいを心行くまで飲んで眠りたい。ママ、ママ、ママ、ここはどこ? くぅはどこにいるの? ママはどこにいるの? 
 そのときにはまだ名前のなかったくぅは、ただ歩き続けていた。目が見えないからよけいになんにもわからない。目が見えたとしても、生まれてからほんの一ヶ月ばかりのくぅには、なんにもわからなかったかもしれない。
「なにか動いたよ」
「なになに? なにかいる?」
 どこかで人間の声がした。くぅのママのおうちには人間がいたから、くぅは人間を知っている。お姉さんの声だった。
「なんだろ。見てくる」
「あ、仔猫!」
 とっととくぅは逃げ出した。方向もわからないから闇雲に逃げた。お姉さんはふたりか三人かいる。くぅだって三までは数えられるんだよ。
「ちいちゃいちいちゃい仔猫だったよ」
「逃げちゃった」
「私、もう一回見てくる」
 大きな身体が近づいてくる。なんだか恐ろしくてくぅが隠れていたら、ふわっと抱き上げられた。
「ちっちゃいねぇ」
「あれぇ、なんかこの仔、おかしい」
「目がくっついちゃってる」
「鳴かないね。声も出せないのかな」
 三人のお姉さんたちが口々に言って、恐る恐るくぅの頭を撫でる。指一本で撫でる。
「この目は病気かな。誰かにいたずらされたのかな」
「生まれつきかな」
「どうする?」
「どうしよう?」
 寒いよ、おなかがすいたよ、くぅの喉からかすれた声が出た。
「あ、鳴いた」
「連れて帰っても飼えないよね、うちはマンションだし」
「うちも」
 しばしくぅには意味不明の相談をしていたお姉さんたちだったが、やがてひとりのお姉さんが決意したように言った。
「……とにかく連れて帰ってお母さんに見せる」
 抱っこされて連れていかれたのはどこかのおうち。
「なーんてちっちゃいの!」
 今度はおばさんの声がして、くぅはおばさんの膝に抱きとられた。くぅのママじゃないけど、くぅはとりあえず安心して膝にしがみついた。ママのおっぱいにちょっと似てて、ちょっとちがうミルクってものをもらって飲んで、おばさんとお姉さんがまたまた相談しているのを聞きながら眠ってしまった。
 目が醒めたのは猛烈におなかがすいたからだった。今朝もミルクを飲んだら、ピンクの小型のおうちに入れられて、自動車ってものに乗せられて、連れていかれたのはお医者さん。
「感染症ですね。治りますよ、たぶん」
 お医者さんもおばさんだった。目の中につめたいものを入れられたり、変なものに乗せられて、はい、500グラム、と言われたり、ちくんと痛いものを身体に射されたりして、おうちに帰った。
 目はまだ見えないけど、ここはくぅのおうち? ねんねするところもあるね。おなかがすいたら食べるものもあるね。でも、ママがいない。くぅはママのおっぱいがほしいの。ママのあったかな身体にくっついて眠りたい。ママになめてもらったり、すりすりしたりしてもらいたい。可愛いおちびちゃん、って呼んでもらいたいのに。
 おうちの人間たち……おじさんとおばさんとお姉さん……は昼間は出かけてしまうので、くぅはお留守番。お留守番のときはピンクのケージに入れられた。くぅがあんまりちっちゃいし、トイレを覚えないからなんだって。
 ここにはママはないけど、かわりにくぅと同類のおばさんがいた。二、三日したら目が半分開くようになって、おうちの中を探検もできるようになって見つけた。大きな大きな猫のおばさん。くぅのママよりずーっと大きくて怖い。くぅがそばに行くと怒る。ふわぁぁーっ!! って怒り狂う。こんな顔ははじめて見た。ふわぁぁーっ! なんてはじめて聞いた。しまいには猫パンチも飛んだ。怖い、痛い。
 人間はちっとも怖くないけど、ちぃおばちゃんは怖いよぉ。
 何度かお医者さんに行って、目の病気もほとんど治ってきてころだった。人間たちが留守のときに、くぅはおずおず猫おばさんに近づいていった。おばさんの名前はちぃ。本名はチェリーっていうんだって。ちぃおばちゃんは怖いから手の届かないところにすわって見てると、おばちゃんがちぃを呼んだ。
「くぅ、おいで」
 あ、ママを思い出す。
「いいの?」
「いいからおいで。おいでって言ってんの。早くおいで」
 つんけんした言い方だけど、目がちょっぴり優しくなったみたい。
「くぅはなんでここに来たのか知ってる?」
「よくわかんないけど……」
 だんだんとおぼろげになりかけている記憶をたどって話すと、ちぃおばちゃんはふむふむと聞いてから言った。
「公園に捨てられてたんだね」
「誰がくぅを捨てたの?」
「そりゃぁ飼い主だよ。おまえが病気になったから持て余して捨てたんだ」
「人間?」
「そう、人間。だけど、くぅを拾ったのも人間だよ。私もここのお姉さんとおばさんに拾われてここの猫になったの。あのころの私はおまえと変わらないほどちっちゃくて可愛かった」
「嘘ぉ」
「なにが嘘だよ」
 人間ほどじゃないけど巨大な猫おばさんも、昔は仔猫だったんだって。
「言っちゃ悪いけど、私は毛並みだっておまえみたいに黒に茶まじりのみっともないのじゃないし、顔はおまえとは大違いの美形だし、仔猫のころはそれはそれは可愛かったんだから。今は美人だしね」
「ふーん」
 そういえば毛皮がずいぶんちがう。くぅは黒にクリームいろと茶のまじったぐちゃっとした毛色で、ちぃはキジトラというらしい。はっきりした模様ではないけれど、黒っぽい茶色と白の縞だ。しっぽもくぅは黒、ちぃは先っぽに黒い縞しまがついている。
 なめらかでやわらかな毛をしたくぅ、ふわふわっとした感触のちぃ。猫にもいろんなのがいるんだ。ママのそばにいたころはくぅは赤ん坊だったから、そんなことは意識もしていなかった。
「……ママ……」
 みぃぃという声が出た。くぅはママを思って鳴いた。
「私なんてもう13歳にもなるんで、母親なんてものはとっくに忘れちまったけど、おまえだって忘れなくちゃいけないよ。猫は自立が早いんだから、普通はおまえくらいになると、ママのおっぱいに寄っていったらそろそろ追っ払われるころだ」
「だって、おっぱいほしいもん」
 眠くなるとくぅはママが恋しくなる。ママはいないから人間の指や腕をなめたり吸ったりして、代償行為がしたくなる。そうしているときがいちばん幸せかもしれない。
「このうちの人間は留守が多いから、留守のときにはくっつきにきてもいいよ。ただし、人間には内緒だからね」
「どうして内緒なの?」
「大人の猫はプライドが高いの」
 意味不明だけど、くぅはうなずいた。
 猫同士でお留守番しているときには、ちぃはしっぽでくぅと遊んでくれたりもする。寄り添って眠ったりもする。身体をなめてくれたりもする。くぅがじゃれかかっても怒らない。だけど、人間がいるとそんなことをしたらものすごく怒る。つい約束を忘れて飛びかかったらパンチが飛んでくる。
 そっか、大人の猫のぷらいどか。ぷらいどってなんなのか知らないけど、あれもきっとぷらいどなんだね。ちぃは人間に吸いついたりはしないけど、お布団に乗っかってもみもみして、ごろごろ喉を鳴らしてる。くぅがじっと見てると途中でやめる。
 ほんとはちぃとくぅが仲良しだってことも、ちぃがもみもみしてることも内緒だよね。約束だよね。くぅが人間にはわからない言葉で言ってみると、ちぃはふんっとそっぽを向いた。

 E N D

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小説サイト「茜いろの森」です。813f777f429e7234 

超短編小説(見本です)

桃色吐息

 壁に貼ったポスターにいたずらをしてみる。モノクロ写真の悠介のくちびるを、ピンクの口紅で彩ってみる。
「そっか、司さん、別れちゃったんだ」
 一度だけ会った野枝と、何度も会っている司の顔を脳裏に浮かべて、花穂はひとりごちた。
「司はバカだ」
 ひとことのもとに言い捨てた悠介のようには、花穂は思えない。あなたと私も長距離恋愛。これからどうなっちゃうの? このままでいいの? ロッカーは結婚して所帯じみてはいけない、と司は大真面目で言うし、悠介も結婚を望まない男なのはまちがいない。
 私は? 私もそう。ようやく軌道に乗ってきたドイツでの仕事を捨てて日本に帰って、悠介と結婚したいとは思わない。だけど、このままでほんとにいいの? は常につきまとっている。
 よし、悠介に会いにいこうと花穂は決めて、休暇を取るための算段をした。どうにかやりくりがつき、予告なしで悠介の目の前にあらわれるつもりで飛行機に乗った。
「よぉ、花穂」
 事前に調べてあった、グラブダブドリブが出演しているライブハウスの裏に回ると、ドルフ、ジェイミー、ボビー、メンバー三人が裏口あたりで煙草を喫っていた。
「しーっ!」
「あ、脅かしてやるつもりね。しー、だよ、みんな」
「おまえに言われなくてもわかってるって」
「花穂、元気してた?」
 口々に小声で言う三人に、悠介は? と目で尋ねると、常々大声のジェイミーがことさらに声を低めて答えた。
「中でギターを抱擁してるよ」
「彼は私よりギターを愛してるのよね」
「いや、同じくらいだろ」
 日本人がふたり、アメリカ人がふたり、イギリス人がふたり、がグラブダブドリブのメンバー構成である。外国人三人も日本語は堪能で、いつでも賑やかで、とりわけイギリス人のジェイミーは時としてけたたましいほどだ。ここで話していては悠介に気取られる。
 足音を忍ばせて中に入っていくと、三人と同様に煙草をくわえた悠介が、ギターを抱いているうしろ姿が目に入ってきた。振り向かないうちにと、花穂は悠介の背中にしがみついた。
「よ、いつ帰った?」
「驚かないんだ。つまんない」
「気配は感じてたよ。お帰り、花穂」
「悠介って落ち着きすぎよ。あなたがいきなりボンに来たときは、私は息が止まりそうなほどびっくりしたのに」
「そういうことを言われてもな」
「せっかく休みを取って来たのに、嬉しくなさそう」
「からむなって」
「からむ」
 いつの間にか外国人三人に司も加わって、悠介と花穂を遠巻きにしてにやにやしている。花穂はこほんと咳払いをして言った。
「終わるの待ってる。行きたいところがあるの」
「日本食か」
「食い気じゃない」
「じゃ、色気?」
 よけいなことを言うジェイミーが、ボビーに脛を蹴られて大袈裟に騒いでいるすきに、花穂は客席に回った。グラブダブドリブのライブも久々だ。CDは朝に夜に聴いているけれど、生で姿を見て生で歌を聴くのは格別だった。
「で、どこへ行くんだ?」
 仕事を終えてシャワーを浴びて、服を着替えてコートも羽織った悠介が、花穂の背中ごしに顔を覗き込んだ。俺たちは邪魔ものだから帰ろうっと、と言い合って、他の四人はひと足先に楽屋を出ていく。司にはなにも話しかけなかったが、花穂には想いを言葉にするすべはない。
「私ってエゴイストだね」
「なんの話しだ?」
「自分のことばっか考えてる」
「そりゃ仕方ない。人間はそういうもんだ。司は大人なんだから、てめえの気持ちの始末はてめえでつけるよ」
「悠介は察しがよすぎるの」
「いちいちからむんだな。司の話はどうでもいいよ。どこに行く?」
「前に行ったところよ」
「前にはいろいろと行ったじゃないか」
「そうでもないと思うな」
 多忙なのはお互いさまだし、日本にいたころからデートも頻繁にはできなかった。そんな中で花穂の記憶に強く焼きついているのは、春真っ盛りの植物園だ。
「植物園? 今ごろか? 寒いぞ」
「くっついてたら寒くない」
「わかったよ。仰せのままに」
 タクシーでたどりついたのは、とうに閉園時間もすぎた都会の植物園。正門から入るのは無理なので、塀を乗り越える。ちょっとしたその冒険は以前にもやったことで、だからこそ記憶にくっきり焼きついているのかもしれない。
「そのためのパンツルックよ。用意周到でしょ?」
「そのつもりで来たわけだな」
 もうひとつ、記憶に鮮やかなのは、植物園の中央広場に咲き誇っていた桜の大樹だった。むろん今は冬枯れで、花のかけらもない。
「ここ? なんで? 花のない桜が楽しいか」
「いいからすわるの」
 強引に桜の前のベンチに並んですわった。悠介の肩に頬を預けて目を閉じると、まぶたの裏に満開の桜が見える気がする。
「花のいろは、うつりにけりないたずらに」
「我が身世にふる、眺めせしまに? なにが言いたい?」
「女の容色が衰えるのはあっという間だってこと。「桃色吐息」って歌もあるじゃない? きれいと言われる時は短すぎて、ってね。ああ、虚しい」
「ばーか」
 小声で笑ってから、悠介は言った。
「いつも言ってなかったか。俺はおまえの容色に恋をしたわけじゃない。つまり、容色が衰えても関係ないってわけだ」
「複雑な気分」
「おまえの中身が好きなんだよ。俺は」
「私は悠介のルックスも好き」
「中身は?」
「大嫌いだけど大好き」
「どこが大嫌いでどこが大好き?」
「意地悪なところは大嫌い」 
 寒くないか? と悠介は訊くけれど、他人が聞けば辟易しそうなむつごとをかわし合っていればまるで寒くもない。花穂は悠介に堅く寄り添った。
「桃色吐息の歌詞にこんなのがあるのよね」
 咲かせて咲かせて桃色吐息、あなたに抱かれてこぼれる花になる、そこを口ずさむと、悠介が妙な目つきになった。
「ここで?」
「バカ言わないの。ただぎゅーっとしてくれればいいのよ。悠介、だ、い、て」
「了解」
 あたたかな腕の中で口ずさみ続ける。海のいろに染まるギリシャのワイン、抱かれるたび素肌、夕焼けになる……金色銀色桃色吐息、きれいと言われる時は短すぎて……悠介が耳もとで言った。
「ちょっと黙れ」
「黙らせて。どうやって? なんて訊いたら殴るからね」
 バカだね、なのか、可愛いな、なのか、悠介の表情は読みきれないが、後者だと善意に解釈しておくことにした。
 くちびるが近づいてくる。口紅が本気で似合う男性なんて、あなた以外にはいません。口紅のCMに出てくれませんか? 広告代理店づとめの花穂がはじめて悠介に向かって言った台詞だ。今でも口説き落としたい気分はあるが、出会いのときの台詞が、ふっと浮かんでふっと消えた。
 甘く熱く触れ合ったくちびる。閉じたまぶたの裏に、今度こそ本当に花が咲いた。
 大丈夫だよね、私たちは。じきにまた離れ離れになってしまうけど、きっときっとこのままいられるよね、花穂の無言の問いかけに悠介は答えないけれど、まなうらの花びらたちが賛同してくれている気がした。ピンクの吐息で咲いた、一面花、花、花の桜の精たちが。

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フォレストシンガーズ小説について

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「みなさまこんばんは、金子将一です」
「こんばんは、徳永渉です」
「著者から指名されまして、徳永と俺とがメインキャラクターの紹介をすることになりました。このストーリイの主役は……」
「俺です」
「おまえじゃないだろ。おまえの永遠のライバルたちだよ」
「俺の紹介はしてもらえないんですか」
「してやろうか。主役たちを差し置いておまえがトップってのはなんだけど、してやらないと寝るだろ。どこからはじめようか」
「トップは高倉さんじゃないんですか。そもそものはじまりは高倉さんですよ」
「そうだな。高倉さんだ。今から数年前、高倉誠は東京のとある大学に入学した。とある大学の合唱部にも入部した。体育会系、封建的体質を持つとつとに名高い合唱部は、男子部、女子部と分かれていて、高倉さんは男なのだから当然、男子部に入部した。彼が二年生のみぎりに、金子将一も合唱部に入部してきた。徳永、寝てないか?」
「俺はまだ出てこないんですか」
「あと二年待て。金子将一とは俺。俺は子供のころからの友であった皆実聖司とともに、合唱部に入部して奔流にもみくちゃにされる。あのころの合唱部はおまえたちが入部したころよりもさらに、体育会体質、封建的体質が激しかったんだよ。俺が一年生の年の四年生男子ときたら、ここは合唱部ではなくて、荒くれ男のそろった剣道部か柔道部か……とぼやきたくなるような部だった。歌とは楽しいものだと軽く考えていた俺は、聞くも涙、語るも涙の経験をいやというほどした」
「金子さん、あなたの悪い癖ですね。じきにそうやって自分のことばっかり話したがる」
「俺の話もしないと続きが言えないんだよ。俺には妹がいて……なにか言ったか? シスコン?」
「金子さんの妹さんが合唱部に入部するのは、あと三年ののちではないんですか」
「そうだった。主役たちにつなげないとな」
「主役は俺……はい、どうぞ」
「俺が三年生になった年に、主役たちが登場してくる」
「二年生の年は?」
「二年生はいいんだよ。とりたててなにもなかったんだから」
「言いたがらないのは、なにかあったからじゃないんですか」
「ないよ。遮るな。で、話を戻しますと、物語の主役となる本橋真次郎、乾隆也、山田美江子。彼らと同年の、ただいまここで俺の話に嘴を突っ込んでいる徳永渉。その四名の、輝ける歌の才能の持ち主たちが、合唱部に入部してきた」
「山田さんも歌の才能は輝いてましたか」
「うん、率直に言うと彼女の歌の才能はさほどでもなかったんだが、彼女には別種の才能があった。徳永、おまえは三沢じゃないんだろ。先走るな」
「三沢が出てくるのもまだ先ですよ」
「本筋に戻そう。本橋、ではなく、徳永をはじめとする四名が合唱部に入部してきた年の男子部キャプテンは、高倉誠氏だった。高倉さんは新入部員たちの歌を吟味し、本橋と乾に目を留めた。そこには高倉さんの炯眼が働いていた。高倉さんは本橋と乾に、今年の夏の合唱部主催コンサートで歌えと命じた。それが物語が回転しはじめるきっかけとなる。徳永、起きてるか?」
「あのときの俺はゆえもなくむしゃくしゃしてましたね。カワズどもがちっぽけな井戸の中で、なにをざわめいて騒いでるんだよ、ってね。負け惜しみですよ。認めてますよ」
「考えようによっては、だからこそ現在の徳永渉があるんだ。おまえが合唱部の一番星だったとしたら……?」
「なるほど。参りました」
「キャプテン高倉さんに大抜擢された本橋と乾は、徐々に生来の才能を花開かせていく。歌も人間としても未熟者ではあったけれど、興味深い奴らだったよ」
「金子さんはずいぶんと高みから見下ろしてたんですね」
「いいんだよ。俺は語り部なんだから。俺はこの際、傍観者的立場で話してるんだ」
「了解。奴らのルックス描写はしないんですか」
「山田さんは中肉中背だろうな。理知的でいながら愛らしさも併せ持つ、意志の強さがおもてにあらわれている女の子だった。現在ではそこに大人の女性の魅力が加わった」
「本橋や乾は?」
「男のルックスを描写する能力はない。おまえがやれ」
「そうですか。では、俺が金子さんになりかわりまして。本橋は背は高い。金子さんほどではないが、俺と同じ程度の長身です。体格も俺に似た感じか。俺よりもさらにがっしりしてますね。学生時代はまだまだひょろっとしてましたけど、引き締まった筋肉のついたいいボディをしてましたよ。ただし、顔は不細工すれすれ」
「不細工ではないだろ。そこそこの顔をしてるぞ、本橋は」
「見解の相違です。あいつはぎりぎりで醜貌となるのを免れたって顔ですよ。おまけに味覚音痴のでくのぼう。まともに他人と議論をする前に、腕力を使おうとする原始人」
「……見解の相違がすぎる。本橋は可愛い奴だよ。単純で……いや、ルックス描写からはずれてるじゃないか。乾は?」
「乾の身長は本橋や俺よりも若干低く、本橋が乾当人に言っているのを聞いたところでは、へなちょこした身体つきだそうです。本橋もごく稀にはうまい形容をしますね」
「へなちょこも言いすぎだけど、乾は細いよな。筋肉のつきにくい体質だって、学生時代は悩んでたよ」
「栄養素が舌に注ぎ込まれて、筋肉にはならないんですね。あいつはたんぱく質を摂取しても脳の妙な部分に回ってしまって、当人の望む体格にはならない」
「体質ってのはあるんだよ。おまえも相当に口に栄養素が回ってるはずだけど、筋肉もそこそこはついてるよな」
「その言葉、おまえをあなたに替えて、そっくりそのままお返ししますよ」
「話しがそれてる。軌道を修正しよう。高倉さんに抜擢されて、なおいっそう合唱部の輝ける星となった本橋と乾は、ほどなく校内全般で有名人となっていく。彼らのそういったところが、回りの人間関係をぎくしゃくさせる一因となったりもした。ぎくしゃくではなく、正攻法で対決したのが徳永渉だ」
「高倉さんの在校当時には、星さんという高倉さんと同年の方がいらしたんです。星さんはかなりかっこよかったんですが、星さんが卒業なさったあとの男子部の一番星は金子さんでしたね。金子将一ファンクラブもありました」
「あれはだな……針小棒大だ」
「そうですか。そこもまた見解の相違ですね」
「そうして本橋と乾は我々の母校のスターとなっていき、彼らが二年生になった年に、本庄繁之、小笠原英彦が合唱部に登場してくる。本庄と小笠原のルックス描写は?」
「男のルックス描写って、やってて虚しいですね。本庄はもっさりで、小笠原は土佐の闘犬でしょう」
「小笠原は見た目は闘犬じゃないんだが、事実、そういった気性の持ち主ではあったな。本庄ではなく、小笠原がリリヤと……ああ、私の妹、金子リリヤは本庄、小笠原と同年です。この年に女子部に入部しました」
「リリヤさんはきわめつけの美少女です」
「うん、それが今では……リリヤも脇役なんだからいいんだよ。本庄と小笠原は本橋、乾、徳永ほどの才能は持っていなかった。その年には俺は四年生になり、キャプテンとなったんだが、本庄や小笠原には歌の方面ではなく、人間性に興味を持ったよ。本庄はリリヤと……小笠原はたこ焼き事件もあったしな」
「リリヤさんの話題となると金子さんの口調が濁りますが、たこ焼きね。小笠原はね……はい、続きをどうぞ」
「そしてその一年後、三沢幸生、木村章も合唱部に入部してきて、主役たちが出揃った。俺はすでに卒業していて、渡辺という男がキャプテンとなっていた」
「渡辺さんはいいんですけど、溝部がね……」
「先輩を呼び捨てにするな」
「いいんですよ。溝部は溝部です」
「この調子で徳永は、俺のいなくなった合唱部に悶着を起こしていた。渡辺は大変だったんだろ」
「そのようですね」
「さらにその一年後、木村章は大学を中退し、本橋がキャプテンとなり、乾が副キャプテンとなり、徳永は彼らの……」
「合唱部ナンバースリー」
「おまえは本橋や乾とは別種の存在だったんだけど、曇った目の者には見られなかったんだよ」
「金子さんの目には曇りが一点もないんですね」
「本橋真次郎、乾隆也が四年生の年に、小笠原、本庄、三沢を誘って五人でフォレストシンガーズを結成した。徳永は言った。十本の脚がこんがらがって倒れないといいけど……だったな。おまえも変わってないよな」
「金子さんもね」
「フォレストシンガーズは長らくアマチュアだった。金子将一も徳永渉もプロシンガーを目標にしていたものの、彼ら以上に長らくアマチュアだった。アマチュアだった時代に小笠原がフォレストシンガーズを脱退して、木村章が小笠原の代理として参加した。山田美江子はフォレストシンガーズのマネージャーとなった。そして、フォレストシンガーズも金子将一も徳永渉も現在に至っている」
「その数年間ははしょるんですか」
「そこがこの物語なんだから」
「学生時代のストーリィもありますけどね」
「あまりに詳しく話すと関心が削がれるだろ」
「この会話はあらすじにもなってないような……個人的見解の相違に終始していませんか」
「俺の主観的見解に、おまえが皮肉突っ込みをやっていたにすぎない気もするよ」
「ま、金子さんや俺の責任ではないでしょう」
「なにせ……だからか? それを言ったらおしまいだろ」
「誰かさんに気に入られているようですから、甘受しましょう」
「だな。そういうわけで……」
「ところで、金子さん?」
「なんだ?」
「東京都内にある大学なんですよね。マンモス大学なんですよね。学部も学生数もきわめて多い。普通、そこまで巨大な大学となると、いくつかの学部ごとに敷地が分かれていませんか」
「それも言ったらおしまいだよ」
「承服しがたいな、俺は……なにせ……」
「ああ、なにせ……な」
「……あとは秘密裡に話を進めましょう。俺たちはなにせ、誰かさんの意のままに動かされている……ああ、それも言ったらおしまいだ」
「よって矛盾も……言うな、徳永」
「言ってるのはあなたでしょう」
「言わせて……おしまいだ」
「はい、おしまいにしましょうか」
「では、おやすみなさい」
「寝てはいけませんよ。読んでいただかなくては」
「はい、では、問題点も多々あるでしょうけど、見て見ぬふりも……」
「では、よろしくお願いします」
「三沢と木村のルックス描写を忘れてないか」
「あいつらはちびでガキです」
「……ごめんな、三沢、木村」
「金子さん、あとは酒でも飲んでふたりきりで……」
「そうしよう。ではでは……失礼します」
「……だからね……」
「うん……だからな……」

というような小説を、「茜いろの森」で連載しています。

遊びにいらしてくださいね。

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ここが「茜いろの森」です。

 

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